マレーボネ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのマレーボネのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース、めちゃくちゃおもしろかった!
最高〜。

今作でもCGの躍動感とアメコミに入り込んだようなエフェクトと実写にしか見えない瞬間が次から次に押し寄せてくる圧倒的なビジュアルで脳が満たされるような感覚は健在。
「映像美が〜」とか「アニメならでは〜」みたいな言葉では追いつかない、「スパイダーバースでしか見ることができない映像」ってだけで本当に無二のシリーズだと思う。

驚いたのはオープニングの完成度。
開始から、グウェンのかわいさ・カッコよさ、紙ヴァルチャーとのバトル、ユニバースが繋がってミゲルとジェシカの登場と共闘、と、一つ一つが趣向を凝らしたビジュアルと縦横無尽のアクションで、ワクワクが止まらない。
かと思いきや、グウェンと父のすれ違いのドラマもやりきるという、ほんと誇張抜きで映画一本分くらいの満足感があるオープニングだった。

本編がはじまってからは、マイルスのドラマとスポットとのバトル。
それぞれがすごく丁寧に語られていて感情移入できるし、コミカルなシーンやニヤリとするシーンが盛りだくさんでずっと見ていたい気持ちになる。
メインヴィランのスポットは、最初はマヌケなやつだな〜って思ってたら、マイルスにとって表裏一体の存在だと明かされ、次第に「あれ、これヤバいんじゃないか……」ってなっていく感覚がとても良いキャラクターだった。

で、一番大きな転換点になるミゲルを中心としたスパイダーソサエティの全貌。

我々がスパイダーマンを見るときに半ば既定路線として受け入れている「またベンおじさん死ぬよね……」とか「誰だれは不幸になるよね……」のような、シリーズものならではの「残酷さ」に踏み込む内容で、メタ的な構造を持つフィクションが扱うテーマとしてこれ以上ない完璧なものだと感じた。
過去作の映像もしっかりピックアップされて説得力がすごい。

前作では、こういう残酷さや痛みを分かち合える存在として別次元のスパイダーマンが描かれていたけど、今作ではスパイダーマンである以上その残酷さや痛みを受け入れて諦めなければならないというジレンマが描かれる。

スパイダーマン自体が「もしかしたら自分も悪党になっていたかもしれない」という葛藤を持ち続けているヒーローなので、この辺を「マイルスとスポット」「マイルスと別バースのスパイダーマン」「マイルスとプラウラー」と何層にも渡って掘り下げまくる構造の完成度は、最近流行りまくっているユニバースもの作品の中でも頭一つ抜けてると思う。

そこからクライマックスにかけては、大勢のスパイダーマンたちのアクションで惹きつけながら、次作への引きがハンパない。
アース42のプラウラーの登場で、徹底的に異分子として突き放され責任を感じることになるマイルス。彼を救うために仲間たちと捜索をはじめるグウェン。
ここで終わるとか拷問ですよね。

おもしろかった……!
マレーボネ

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