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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのyahのレビュー・感想・評価

3.1
IMAX字幕にて鑑賞。

まずIMAXでの上映環境が酷い!
立て続けに鑑賞したザ・フラッシュと雲泥の差。

映画泥棒や予告編、IMAXデモやカウントダウンより音が小さい本編なんて初めてだ…!!!
ドラムの音は、実際に目の前に楽器持ち込んで叩く生音の方が大きいのではないかと感じるほど。後方の方々、セリフより小さい効果音や劇伴聞こえてました?

なんだったんだ一体…。

ちなみに画角はSCOPE、拡張シーケンスも存在しないのでIMAXでは必ず上下に黒枠がつくタイプ。
グランドシネマサンシャインやエキスポシティのIMAXシアターで観ると、スクリーンの半分近くを占める黒帯になかなかげんなりするかも。

都内のおすすめは新宿のドルビーシネマなど、スクリーンのアスペクト比がSCOPEの館。

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完全に“not for me”だった今作。前評判が良かった分、ここまで落胆するとは思いもしなかった。

アカデミー賞アニメーション作品部門、おそらく本作がオスカーを獲得するでしょう。
もはや眼球から摂取する“ドラッグ”のような映像体験。名実ともに、世界一の映像トリップ。唯一無二の映画体験。

ただし140分もの長尺の割に描いたのはあくまで『プロローグ』のみ。正直60分ほどに纏められるようほどの薄っぺらい内容で、前後編の必要性を全く感じられませんでした。
ソニーピクチャーズによるインフィニティウォー→エンドゲームの模倣なのでしょう。1本の映画に収まる内容を無理矢理2本に分割するような脚本は、映画『オビ=ワン・ケノービ』が6話のドラマへと書き直された逸話を彷彿させます。

またラストに表示されるある演出からも、MCUへのオマージュを強く感じました。個人的には不要。

140分中100分は虚無感に包まれた今作、なんでこんな脚本・演出になってしまったんでしょうかね……。
オープニングから頻繁に差し込まれる「光点滅描写」も甘ったるいレベルではなく、多くの児童が緊急搬送されたTVアニメポケモンの「ポリゴンショック」のような過激な演出でした。そちらも大きく減点。

芸術としては大傑作、映画としては正直駄作です。前後編を大前提として製作されているため、一本の映画としても成立しきっていないのも問題。
インフィニティウォー&エンドゲームやバックトゥザフューチャー2&3はもっと上手かったぞ!

同日公開の『ザ・フラッシュ』の方が映画としての感性が圧倒的に高く、「マルチバース」や「ヒーローとしての使命」の描き方も非常にストイックかつコミカル、そして涙が止まらないほどエモーショナルに描けていました。

ザ・フラッシュ、オススメです。今作を観るなら…是非フラッシュを。
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