こりゃとんでもない作品ですね。ぶったまげました。
アニメーション映画の限界というか、エンタメの領域というものを、ほんの少し押し広げたような作品だと思います。自分はいますごく楽しい、そんな気分になれる作品なんてそうそう無いじゃないですか。
作画。前作でもアクションがすごかったんですけど本作ではよりパワーアップしており、序盤のグウェンがヴァルチャーと闘う一連のシーケンスでなんて楽しいんだと既にワクワクが止まりませんでした。
脚本。本作ではいろんなスパイダーマンが出てくるわけですが、じゃあなぜ主人公のマイルスが特別なのか?という疑問が出てくるわけで。主人公たる所以が今回の悪役、スポットの出自と因果が絡んでおりよく出来てるなーと。二転三転するストーリーで目の回る展開なのにしっかり追えるのは説明の取捨選択が(観客を信頼した)ギリギリのレベルで成功しているからだろう。
そのなかでスパイダーマンが抱える家族との悩みや愛情、恋まで描いており何も言うことがない。
『スパイダーマンノーウェイホーム』もマルチバースを扱った最高にアツい作品だったけど、あれは実写ならではの驚きもあったからかな。その点マルチバースという設定自体を、物語の舞台、裏切りの仕掛け、主人公と敵の出自にと余すことなく利用した本作の語り方は頭ひとつ抜けていると思う。
音楽も相変わらずオシャレでノれるし演出も最高。また世の中に傑作が生まれた。