Jun潤

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのJun潤のレビュー・感想・評価

4.0
2023.06.16

レビュー888本目!!

一作目の公開から5年、僕が視聴してから2年、ついに続編が公開です。
今回は二部作の前編ということで、それぞれ個別の物語なのか、それとも予告編の段階から壮大そうな物語を2作品に渡って描くのか、その辺にもワクワクして鑑賞できそうですね。
一作目にただでさえ色々なスパイダーマンが出てきたというのに、予告やwikiの情報から大量のスパイダーマンが登場するとのこと。
原作は追っていないので最早小ネタ探しは早々に諦めて、マイルズとグウェンの関係性に注目して鑑賞するとしましょうか。
今回はIMAX2D字幕版にて鑑賞。

“スパイダーグウェン”の世界。
この世界のピーターは、特別な存在になりたいと願ったためにヴィランになってしまい、グウェンとの戦いの末、命を落としてしまっていた。
その現場を目撃したグウェンの父である署長は、目の前の“スパイダーウーマン”が娘の親友を殺したと勘違いし、日々彼女の存在を追っていた。
ある日、ニューヨークの街にヴァルチャーが現れる。
しかし彼は、かつて別次元のヴィラン・キングピンが起こした次元の融合の影響で、さらに違う次元からポータルを伝って現れた存在だった。
署長も介入した戦闘の中、またポータルが開き、その中からミゲル・オハラと名乗る別次元のスパイダーマンが現れる。
彼は次元の融合や、その影響で異なる次元同士のスパイダーマンとヴィランの戦いに介入する存在“スパイダー・ソサエティ”のメンバーだった。
バイクに乗る“スパイダーウーマン”ことジェシカも現れ、苦戦の末にヴァルチャーを捕えることに成功するが、署長に拳銃を突きつけられ、グウェンは父に正体を明かし、親友を失い、誰にも自分のことを話せない苦悩を吐露する。
ジェシカの推薦によりソサエティのメンバーになったグウェンは父の元を去る。

マイルス・モラレスの世界。
ある日、コンビニにATM強盗を目的にヴィラン“スポット”が現れる。
マイルスは両親に大学推薦の件で呼び出されている途中でスポットと交戦するが、スポット自身もコントロールできていない能力に翻弄される。
一度は拘束することに成功し、面談の場に赴くも、スパイダーマンであることを打ち明けることができない苦悩と、実家を離れて大学で別次元について学ぶことに反対する両親への反抗から面談は上手くいかない。
そして拘束を解き、徐々に能力を使いこなし始めたスポットと、署長であるマイルスの父も交えて再び戦闘が始まる。
スポットの自滅によって事態は収まるが、マイルスの父は相手がマイルスであるとも知らずに、スパイダーマンに対して子育ての悩みを打ち明ける。
かつて共に戦い、もう会うことができない唯一全てを打ち明けられる別次元のグウェンを想うマイルス。
父の署長就任のパーティーに遅刻してしまった上に、パーティー会場で大声の口喧嘩をしてしまったことから、外出禁止を告げられる。
不貞腐れるマイルスの前に、もう会えないはずのグウェンがポータルから現れる。
再会を喜び、束の間の交流を重ねるマイルスとグウェン。
しかしグウェンは不可解な言動をした後にどこかへ行ってしまう。
後を尾けたマイルスは、スポットが自らの体にさらなる改造を施し、次元間の移動を可能にしたこと、現在はまた違う次元にいることを知る。
マイルスは、スポットがいる次元に向かうグウェンを追う。

“スパイダーマン・インディア”の世界。
突如現れたスポットによって混乱する街を、マイルス、グウェン、スパイダーマン・インディア、そしてソサエティのメンバーである“スパイダーパンク”ことホービーらが駆ける。
自身の目的を達成しさらに進化したスポットを取り逃したものの、甚大な被害が出ようとしている街を救うべく動き出した4人だったが、スパイダーマン・インディアは、恋人が乗ったバスの乗客たちか、幼い少女を身を挺して守ろうとする恋人の父親もある署長の命のどちらかしか助けられない選択を迫られる。
そんな状況を目にしたマイルスはグウェンの制止を振り払い、どちらも救う手助けをする。
しかし、街には謎の異変が起き、ジェシカに呼びだされる形でマイルスはソサエティがある次元へと向かう。
そこでマイルスは、スパイダーマンには大切な人との別離という避けることのできない運命が待ち受けており、その運命を覆してしまうと全ての次元が崩壊する可能性があること、自分の身にも父との永遠の別れという運命が迫りつつあることを知る。
マイルスは、全ての次元の運命と父の生死をかけ、全てのスパイダーマンと対峙することとなるが、その戦いには、自分がスパイダーマンになったことに関する事実が秘めれれていたー。

うん、良かった、、良かったけどさ、前編にしては長くない?
あとこの状態で来年公開の『ビヨンド・ザ・スパイダーバース』まで待たされるってなんて生殺し?
もうちょっと前編としてのボリュームを抑えて欲しかったのと、後編公開までのスパンを短くして欲しかったところを含め、総合的な評価は後編を鑑賞してからになりますかね。

ヒーロー像や作画、小ネタに関することを置いておいて、まず今作は親子の物語として大変良い。
次元を超えて描かれる様々な親子関係の形。
親の知らぬところで成長していく子供、自分に見せる以上に深く子を想う親、親にも言えない秘密を打ち明けることができる内緒の友達、広い世界に飛び出て自分よりも親よりも大きな存在と出会っても忘れてはいけない故郷のこと。
現実世界にも共通する親と子の関係性のあり方について、正解や教科書などは無く、お互いに距離を測りながら、共に成長していかなければならないということ。
ヒーローものとして大変ボリューミーな物語でありながら、それだけでは済まさないメッセージ性を内包している作品でした。
あとはマイルスが移民家系ということもあり、先祖たちが勝ち取った地位を守るためという、連綿と受け継がれていく家系の使命についても言及されていましたね。

そしてヒーローものとしても、幼さゆえか、先のことを深く考えすぎずに、全てを救いきりたい、何も犠牲にしたくないマイルスと、犠牲を受け入れ、最大多数の幸福のためにヒーロー然であろうとする他の次元のスパイダーマンとの対比がきちんと描かれていました。
対比の対象がちょいと多すぎるのですがね。笑
登場した全スパイダーマンに比べると深掘りされたキャラクターは極々一部ですが、全員が同じ犠牲と使命の上に立つヒーローというイメージが既にガッチガチに確立されているので、その分スパイダーマンたちの気持ちも痛いほどにわかるし、彼らに反発するマイルスを諌めたいような、応援したいような、複雑な気持ちになるまた新しいヒーロー作品でした。

作画については前作でも見られたアメコミ調の作画や字幕、効果や演出が、日本のアニメーション作品ではまず見られないものなので、印象に残りますね。
また、今作は3dDCGアニメーションでありながら、2D作画のキャラが出てくる他、絵画や絵本のような背景にも目が行きましたね。
その独特な画面に目が釘付けになるだけでなく、そのおかげででキャラクターが映えてよりストーリーに入り込めるようになっていました。
スイングシーンに関しては、個人的には『NWH』の3人スイングを観ていたので違う形でも観れたなーという気持ちでしたが、どうしても前作と比べて人数も場面も格段に増えているので、初見の場合は観辛さが勝ってしまうのかな?と思ったり。

小ネタについては、コミックス由来のものは全くと言っていいほどわからなかったのですが、まさかのレゴ次元や『ヴェノム』の次元、おそらくはアーカイブ映像からの流用かと思われますが、実写版のスパイダーマンも出てきていて、コミックスを読んだことがない人も十分楽しむことができる小ネタが仕掛けられていました。

さて、上述の通り後編は来年公開。
スポットの正体と決着、スパイダー・ソサエティとの関係、マイルスの父の運命、マイルスが迷い込んでしまった、スパイダーマンが存在しないだけでなくマイルスがプラウラーとなっている次元、そして今作と前作のスパイダーマンたちがチームを結成してマイルスの元に集結しそうなアツい展開と、早く続きが観たいのですが、なにぶん期間が空きすぎでモチベーションを維持できるのかどうかが悩みのタネですね。
Jun潤

Jun潤