映像も脚本も前作超えの傑作
いまやマーベルもDCもマルチバースにたいへん熱心だが、本シリーズはその潮流の元祖といえるだろう。
前作『スパイダーマン スパイダーバース』はコミック的な表現をCGで再現するというはちゃめちゃに手間暇のかかった映像表現と優れた脚本が見どころだったが、第2作となる今作はそのどちらもさらに進化を遂げている。
各バースで異なる質感を再現した映像は一種のアートに近い。特に冒頭のグウェンのバースは油絵的なタッチが描かれていたりと、前作とも異なる方向性を模索している。
とはいえ画面の隅々まで凄まじい情報量が行き交う映像は健在で、スパイダーマンがわらわらと画面を動き回るシーンだけでもお腹いっぱいになる。たぶんどこのシーンを切り取っても一枚の画になる圧倒的な視覚表現だ。
前作はアメコミの王道的な展開だったが、本作はクモの糸のように張り巡らされた複雑なプロット。だがそれを感じさせないよう交通整理がされていてそこも前作同様にポイントが高い。
惜しくらむは本作が3部作の第2弾ということを知らない人が多数いるようで、劇場内の観客も衝撃のクリフハンガーにツッコミをいれていた。早く続きが観たい。