じょにー

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのじょにーのレビュー・感想・評価

4.5
お・・・!おもしれーっ!!!

2部作の前編なので正当な評価は付けにくいはずなのに、終わり良ければ全て良しのテンションで満足度をかっさらっていく!こういうので良いんだよ過ぎる。
スパイダーズ紹介シークエンスが好きすぎるから今回登場したスパイディ達のそれだけで映画1本やってほしい。

素晴らしいメリハリの付け方で、弾けたアクションを描きつつも丁寧に丁寧にテーマを据えて物語の引力をコントロールしてくれるのが気持ちいい。マイルスの家族のあり方が変わってないのがすごく良かった。
一番恐ろしいのはその綿密さ。数十人だか百人超えてるのかわからん(何人なんだろう?)登場人物の個性を絵柄で描き分けるとかいう異常な情報量がまず背景にあって、それでもメインキャラクター達を描かれ負けさせず、この人数で誰が追い誰が追われてるのか混乱させない画面構成と視線誘導、敵味方それぞれの複雑な立ち位置に感情移入させる整理整頓力。狂う!!
予告で見た以上のことが起きないという感想を見たけどとんでもない。話運びがこれだけ練られてて続編への地固めまでクリアして締めるなんてどうかしてるでしょ。笑

同じくマルチバースを扱って同日に上映開始したザ・フラッシュはテーマよりも設定(マルチバース)の魅力を、こちらは設定(マルチバース)よりもテーマや伝えたいことを先頭に置いて製作されているような印象がある。

これは真面目に言うんですが、おもしろさってハッタリで8割増しになると思ってて。(もちろん土台の担保があっての割増しなんだけど)ここがこうなったぞー!とか、実はこうだったぞー!とか、見せ場を見せ場らしく描くのって本当に大事で、この映画も然り、良い作品ってそこをキッチリ詰めてくれてる印象が強い。
ドラマはドラマでしっかりやる、葛藤をしっかり見せる、アクション魅せるときはガンガンに音楽かけてみる。これだけでもとりあえず面白そうになるのでそういう様式が気軽に乱立されてほしい。
そしてその様式ってアニメーションと相性良いんだろうな。映像美を作り込めば静かな場面でも飽きさせにくかったり、意味のある音楽を添えてもアニメなら邪魔されにくい。あとクサいことを堂々とやっても様になるってのもあるかも。

スパイダーバース、まさに自分の強さを理解してる作品だ。物語がフリーウェイな中でこれだけ充実させてくるの、ちょっと意味わからんです。すごい。
続編が観た過ぎるこの感覚、学校からの帰り道に週刊少年ジャンプ買ってた頃のそれなんよ。楽しいぜ。そして続編まで1年待たされるのもなんか身に覚えあるな!?

こんなに鳥肌立ちっぱなしだったのいつぶりだろう・・・。
何度も繰り返されたヒーローのパターンをテーマに組み込みながらここまで鮮烈に目を惹き付けるなんて。大いなる責任を乗りこなす大人たちの情熱と努力にあっぱれ。
じょにー

じょにー