なお

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのなおのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2018年公開『スパイダーマン:スパイダーバース』待望の正統続編。

自分は前作をサブスクにて視聴。
3Dアニメーションのサイケデリックかつアーティスティックな色彩を持つ世界観で躍動するスパイダーマン(=マイルス・モラレス)の活躍には思わず舌を巻いたし、
「これは劇場で見たかった…!」
とそう思わせてくれた数少ない作品だったことを今も覚えている。

前作視聴から2年。
奇しくも同じマルチバースを取り扱うDCEU第12作『ザ・フラッシュ』と同日に見てまいりました。

✏️運命なんてブッつぶせ
いわゆる「邦題あるある」の一環で、ハリウッド映画の原題が日本公開版だと意訳とも言えないヘンテコな題名になっていたり、妙な副題が付けられたり。

題名だけでなくキャッチコピーもまた然りで、見ているこちらが恥ずかしくなったり始末が悪いものだと「これネタバレじゃね?」みたいなキャッチコピーを付けられる舶来の映画作品において、この「運命なんてブッつぶせ」という本作のフレーズ。
これはなかなか的を射ている表現だと思ったし、本作は正真正銘「運命と戦う」マイルスとグウェンの姿を追った物語なんですね。

改めて思ったのは、スパイダーマン以上に「運命に抗えず、翻弄されるヒーロー」っていないんじゃないだろうか、ということ。

始まりはちょっと科学に明るいだけのイケてない学生で、それがある日突然クモに噛まれたことによってスーパーパワーを得る。
突如スーパーパワーを得た青年が、その力の使い方に悩みつつも市民の信頼を得て、街のヒーローとして活躍していく…というサクセス・ストーリーは、国や人種の壁を越えて愛されるのも納得の「ヒーロー像」だ。

しかしそんな彼が決して避けては通れない運命。
それが「愛する人の死」。

あるバースのスパイダーマンは自分の父親代わりであったおじさんを、またあるバースのスパイダーマンは恋人を…
「死」という形でなく、「全世界の人々から存在を忘れられる」という結末を迎えたスパイダーマンの存在も我々は知っている。

この運命についてはマイルスも当然例外ではない。
前作で敵だったとはいえアーロンおじさんを失ったマイルスだったけれど、マイルスにとっての「カノン・イベント」はそれではなく、自らの父の死によって完成されることを知ってしまう。

この運命に「いや、なんでだよ!」と反抗期真っただ中の高校生のごとく猛然と立ち向かうことを決意するマイルス。
世界中の人々…いや、全バースのスパイダーマンを敵に回してでも助けたい人がいる。

既報の通り本作は来年公開予定の『ビヨンド・ザ・スパイダーバース』との2部作であり、その「第1作」である本作はどちらかというと次回作での興奮を最高潮に高めるための伏線づくりや種まきに終始しているかな~という内容に感じた。

前作と比べるとマルチバースの仕組みや謎について説明的なセリフや場面が多いので、映画ファンにとって最大のヴィラン<睡魔>が襲い来る時間帯も…

しかしそれもあくまで「前作と比べれば」であり、そんじょそこらの並の映画とは違う表現技法や映像技術は映画館で見て良かった!と十分に思えるクオリティに仕上がっている。

マルチバースの設定をふんだんに活かした笑いどころも健在。
LEGOブロックバースのスパイダーマンだったり、『ヴェノム』に登場したあの女性が出てきたり。

何より、窮地に陥ったマイルスを救うために立ち上がった、前作にも登場した「スパイダーマンたち」。
グウェンとともに再びチームを結成し、次回作でいかに大暴れしてくれるのか。
今から来年の続編が楽しみになる「to be continued」だった。

☑️まとめ
運命に抗えず愛する人の「死」を迎えるも、その運命を受け入れ、それぞれの「新たな道」を行くのがスパイダーマンというヒーロー作品のセオリーであり最大の美徳であった。

だがしかし、マイルス・モラレスは一味違う。運命に抗い、立ち向かい。
「もう誰も死なせない」その信念ひとつで道を切り開こうとするマイルスに訪れるのはまた別な運命か、あるいは---。

ところで、本作にも東映版スパイダーマンの姿は無いように見えましたね…
ずっとひそかに待ち焦がれているんですが…
レオパルドンっぽいロボット?の姿は確認できたんだけれど。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆

🎬2023年鑑賞数:65(30)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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