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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのdiesixxのレビュー・感想・評価

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初日に『ザ・フラッシュ』とハシゴして見たけど、あまりの情報量に脳みそが追いつかず(しかも字幕版だっため)途中で強烈な眠気に襲われた。2回目は吹替で、しっかり糖分摂って臨んだけど、まだ細かいところとかBlu-rayでじっくり見たい。
画期的ポップアートとして、22世紀の美術館に保管、展示されているであろう作品。序盤にダヴィンチ調のヴァルチャーと、現代アートミュージアムで戦っている場面からして、アートの歴史と地続きのすごい作品を作ってやるんだという気概が感じられる。しかもそれが、宮崎駿や高畑勲や庵野秀明や井上雄彦みたく一人の天才がカリスマ性とビジョンと独善性を発揮して作るのではなく、一人一人違った資質を持つ職人集団が人海戦術で作り上げた総合芸術であるという点がすごい。もちろんロード&ミラーのディレクションあってのことだとは思うけど。
2回目見て、コミック独特の印刷ずれ、キャラクターごとのフィルムレートと差異、微妙な手ブレ、小さな書き込みなどなどが盛り込まれてることが「視認」できた程度。まだ一つ一つの演出にまでは理解が追いつかなかった。
物語も攻めている。家族の期待や束縛、社会が要請、運命論に抗うティーンエイジャーの普遍的な物語であると同時に
私たちが知るスパイダーマンの物語(自己犠牲や喪失)を「カノンイベント」と捉えて、スパイダーマンの定義を問い直すという非常に燃える話。モラレスが、無数のスパイダーマンから逃げる場面や、グウェンが「うちらヒーローなんだよね?」って言うシーンは胸が詰まる。
小悪党からマルチバース全体を脅かすスーパーヴィランへと急成長していくスポットの、悲しくも空虚なキャラ造形も怖いし、モラレスが対峙する「プロウラー」の正体にもゾクゾク来た。あれはモラレスがなりたかったかもしれない未来。ブラックパンサーにおけるキルモンガーのよう。
メトロ・ブーミンのサウンドトラックもめちゃクール。前作のポスト・マローンあんなにバズったのに安易に使わないところに、本気を感じる。けど普通にGuess Whos Backみたいな大ネタも恥ずかしげなく使う胆力にもうなる。
今回はグウェンの物語にも比重が置かれている。トランスジェンダーのシンボルカラーを効果的使ったパステルな世界観。正体を家族に隠す/明かす葛藤が、セクシャリティの開示とも重ねられていたりと、複層的なシナリオにも感心しきりだった。最後に「自分のバンド組むことにした」って場面、最高すぎて泣いちゃったわ。あんまりモラレスとかかわってないスパイダーバイト入ってたの謎だけど笑
ピーター・B・パーカーもすっかり鬱陶しい子煩悩パパになってたけど、親になった理由が「お前みたいないい子になるかと思った」「お前といてが楽しかったから」っての泣ける。
あー、とにかく1年後が楽しみすぎる!
魅力的なキャラクターにそれぞれどんな結末が用意されるのか。我らがスパイダーマッ&レオパルドンは登場するのか??しかし本作の世界観で登場するとすると、やはり実写なのか?70年代東映特撮のあの質感が再現されているのか…興味は尽きない。
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