みち

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのみちのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

相変わらずの圧倒的な映像、アニメーションが全ての映像という映像を取り込んでいく凄まじさに、きっと脳は追いついていない。毎秒流れ込む、タッチの違うカラフルな映像と爆音を処理できないまま、物語だけにはなんとか追いついている、「バグった」映像体験だと思う。何十万枚ものイラストを自由にめくり返してみたい。

実写のNWHを観た時(あれを超える映画体験は久しくないのだけれど)、自分の宇宙でどうしようもなく悲しいことがあったとして、それがどうしても避けることのできないものだったとして、それでも、別の宇宙で同じ運命を辿る誰かを救うことで、自分の宇宙で自分の果たせなかった思いにケリをつける方法もあるのだと知って、物語の可能性を強く感じた覚えがある。

今回、もう一度突きつけられる問いは、物語のヒーローが、自分が生まれた瞬間から運命づけられている悲劇に抗えるのか、ということで、これから語られる行く末によっては、これまでの全てのスパイダーマン(ウーマン)たちの人生に別の答えの可能性を突きつけることになる。

作中で明かされるように、マイルスは「誤って」ヒーローになってしまったらしいから、例外的に別の運命が許されるのでは?という気もしたけれど、そんな理屈は逃げ口上でしかない。こんな物語の可能性があったのか、というケリの付け方を期待して映画館を出た。
みち

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