いやこの作品すごいな。
何も言わずにまずは見てほしい。
近年のアメコミ映画界ではマルチバースがトレンドになっており、もはやマルチバースありきで構成される作品も多々あります。
「マルチバース疲れ」なる単語まで出てくる始末のようですがさもありなんといった感じです。
僕自身も正直、アメコミ特にMCU作品には以前ほどの熱量を持てなくなってしまっています。
なんというかマルチバースを便利な創作の逃げ道にしてしまってないか？って感じになってしまっているのです。
その点この作品は、マルチバースって何だよ、正直もう疲れたよって観客の声に耳を傾けつつ、もう一歩進んだところまで問題提起しているので、最近のMCUにもううんざりしている人も見てほしいです。
ただ、アメコミ初心者スパイダーマン初心者には正直勧めづらい作品でもあり・・。
スパイダーマンって派生作品がいっぱいあって、大人の事情でリメイクされまくってる作品でもあるので、その辺のスパイダーマン事情をある程度知ってないと、この辺のことは大体知ってるよね！って感じで容赦なくストーリーが進行していく上に、マルチバースってこんなんだけど大体他の作品と一緒だから知ってるよね！って感じでがんがん説明を端折っていくので、正直ストーリーや世界観に関してはだいぶわけがわからない。
ただ、この辺は、アメコミや日本のアニメでよくやる、専門家やオタクが一般人には理解できない、させる気もない、説明台詞を早口でまくし立てる演出のパロディみたいなものだと思えば、まあいいかもしれない。
とにかくそんな一見さんお断りのような内容の映画なんですが、それでもすさまじい熱量のアニメーションととがりまくった演出で、ストーリーが頭に入んなくてもただ映像を見てるだけで面白い。なんというかアニメーションがもともと持っていて絵が動くという原初の感動みたいなものを感じる。
芸大生の卒業制作をすさまじいクオリティで垂れ流されているような。
とにかく映像がすごい。
僕は普段洋画は字幕派ですが、この作品に関しては吹替も違和感なく、映像に集中するためにも吹替の方をお勧めします。
