エイデン

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

“アース65”
放射性のクモに噛まれた高校生グウェン・ステイシーは、街で唯一の“スパイダーウーマン”として犯罪と戦う日々を送っていた
そんな中 自分の弱さにコンプレックスを持つ親友ピーター・パーカーが、それを克服しようとトカゲの怪物“リザード”へと変身
グウェンは意識を失って暴れ回るリザードをピーターとは知らずに止めようとする
しかし腕の中でピーター事故死してしまったばかりか、グウェンは警察署長である実の父ジョージにその光景を見られ、スパイダーウーマンに殺人容疑がかけられてしまう
親友の死に加え世間からも非難されるようになったグウェンはヒーロー活動を続けながらも、所属していたバンドも辞め鬱屈した日々を送るようになる
そんな中 “マルチバース”を渡り、マイルズ・モラレスら別次元の“スパイダーマン”達と出会ったグウェンは戦いを通して心の傷を癒す
それから親友となったマイルズとも別れ、再び元の日々を送っていたグウェンは、ある日 通報を聞きつけ現場の美術館へと駆け付ける
グウェンは中で暴れていた“バルチャー”の前に立ちはだかるも、その姿はルネサンス風の見たこともない姿だった
不審に思いながら戦うグウェンは危機に陥るが、それを救ったのは別次元からやって来たスパイダーマン ミゲル・オハラだった
ミゲルは、このバルチャーのような次元を超えてしまったヴィランを捕らえ、マルチバース全体を守っているのだと言う
更にミゲルは別次元のスパイダーウーマン ジェス・ドリューを応援に呼び寄せ、3人は協力してバルチャーを倒すことに成功
しかしそこへジョージが駆け付け、グウェンは父に正体を知られてしまう
苦しい立場ながら警官として逮捕しようとするジョージにグウェンはショックを受ける
それを憐れんだミゲルとジェスは、マルチバースを守る“スパイダー・ピープル”による組織“スパイダー・ソサエティ”に彼女を迎え入れるのだった
“アース1610”
能力を手に入れてから1年4ヶ月後、マイルズは街でただ1人のスパイダーマンとして一人前に成長していた
その活動は充実こそしていたものの、かつての戦いで肩を並べたグウェンのことも忘れられず、どこか孤独感にも苛まれる日々
またもうすぐ警察署長になることが決まった父ジェフと息子を溺愛する母リオは、遅刻ばかりのマイルズが秘密を抱えていることに気付いていた
詮索されながら正体を明かすわけにもいかず、頭を抱えていたマイルズは、ある日 ATMを盗み出そうとしている、身体中に黒い穴の空いた異様な姿のスーパーヴィラン“スポット”と出会う
空間を自在に移動できるポータルを作り出せるスポットだったが、能力を使いこなせておらず、マイルズは苦戦しながらも彼を捕えることに成功
マイルズは遅刻しながらもその足で学校の進路相談へと向かう
先に到着していたジェフとリオに怒られながらも、マイルズは別次元へ移動する研究を行いたいと熱弁
最初は反対していた両親もそれを受け入れるが、何と窓の外に逃げ出したスポットを発見する
慌てて再戦を挑んだマイルズは、スポットが元はジョナサン・オーンという“アルケマックス社”の科学者で、スパイダーマンとただならぬ因縁があることを聞く
スポットは別次元への移動に関する研究を行っており、その過程で別次元から連れて来たクモがマイルズを噛んでスパイダーマンとしての能力を目覚めさせていたのだ
またマイルズが戦いの末に破壊した“量子加速器”の爆発に巻き込まれたことでスポットは今の能力を得たのだと言う
姿も変わりマトモな生活も送れなくなったスポットは恨みを募らせ、スパイダーマンの宿敵と名乗りマイルズに襲い掛かる
ところがスポットはまたも能力を上手く活かせず、自分のポータルの中に落ちて跡形も無く消えてしまうのだった
拍子抜けしたマイルズはその後、父ジェフの警察署長就任決定を祝うパーティーに出席する
しかしまたもスパイダーマンとしての活動に追われて遅刻し、マイルズは両親と衝突
自宅謹慎を言い渡され、自室に引きこもっていたマイルズは、突如としてグウェンの訪問を受ける
思わぬ再会に喜ぶマイルズは、スパイダー・ソサエティの一員として活動するグウェンの話を聞き、束の間の幸せな時間を過ごす
2人でパーティーに戻り話をするも、グウェンがここに長くはいられないと知ったマイルズは悲しみながらも別れを告げる
だが現れた母リオに悩んでいる自分を受け入れてもらい勇気付けられたマイルズは、改めてグウェンの後を追う
グウェンは穴だらけとなったビルの中へ入り、そこの調査を行っていた
透明化能力を使って様子を伺っていたマイルズは、グウェンは違う目的のためにこの次元にやって来ており、マイルズと会うのは仲間に止められていたのだと知る
実はマイルズが取り逃したスポットは、マルチバースを自在に行き来する能力に目覚め、量子加速器を使って更にその力を高めてスパイダーマンに復讐をしようとしていたのだ
マルチバース全体の危機を知ったミゲルの命令に従って動いていたグウェンは、ジェスによってもう1度だけチャンスを貰い、また別の次元へ行ってスポットを止めようとしていた
それを知ったマイルズは迷いながらも力になることを決意し、グウェンを追いかけてマルチバースを越える戦いに出るが、スパイダーマンとしての残酷な選択を迫られ・・・



大ヒットしたアニメ映画『スパイダーマン スパイダーバース』の続編

街で唯一のスパイダーマンとして成長を遂げたマイルスの前に現れたのはマルチバースを揺るがす脅威
更に多くのスパイダーマンと出会いながら今度は自らマルチバースを駆け巡る大冒険に挑む

運命そのものと対峙するストーリーが斬新で面白い
メタ演出ではあるはずだけど、マルチバース設定と何度も映画化されてきたスパイダーマンだからこそ使える掠め手とも言える手段で上手くストーリーに組み込んでいるのはスゴい
前作でスパイダーマンとなる運命を受け入れたマイルズが、スパイダーマンは数々の悲劇も受け止めなければならないのかという逆説的な問いに真っ向から挑む
前作ストーリーを踏まえた上手いアップデートだ

悲劇の運命を変えようと立ち上がるマイルスに対し、立ち塞がるのは数多のスパイダーマン達
前作から続投のスパイダーグウェン(“ゴーストスパイダー”)はじめ、ミゲルことスパイダーマン2099など、総勢240人という数多のスパイダーマンが画面を埋め尽くすのは圧巻
映像自体も楽しいし、ちょい役に至るまで濃いメンツが揃ってる
原作ファンからすると、知ってるやつもいたりもするので、じっくり眺めるだけで時間潰せる

同時期に公開し、同じマルチバース設定とヒーローの運命に立ち向かう物語を描いたDC映画『ザ・フラッシュ』と、真逆の展開に落ち着くのは皮肉ながら、運命に立ち向かう姿は最後までとことんカッコいい
前後編ではあるけど、続きの気になるゾクゾクするオチまでつけられてて満足度は高かった

後編となる『スパイダーマン ビヨンド・ザ・スパイダーバース』に加え、グウェンの活躍を描く『スパイダーウーマン』の製作も決定するなど、幅広く広がるスパイダーマンワールドの入り口として、これまでコンテンツとしてのスパイダーマンを楽しんだ全員に楽しんでほしい
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