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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのオジサンのレビュー・感想・評価

5.0
いつものスパイダーマン。
ただそれを主人公を変えて、見せ方を変えて、演出も変えて真新しさをこちら側に与えてくれる単純に面白いスパイダーマンの一作品でした。

たしかに続編ありきのラストの展開は、何の事前知識もなく鑑賞していたので驚きましたが、この作品の原題にはちゃんとパート1と記載されているのですね。
これは日本の邦題を決める配給会社が悪くて、作品そのものの評価とは別だと思います。

いつものスパイダーマンと言っても、スパイダーマンの避けては通れないそれでいてスパイダーマンをスパイダーマン足らしめている悲劇的な一幕というものにそんなお話しもあったのかと、メタ的な意味ともしかしたらこの映画だけの設定なのかもしれませんが、新たな豆知識を教えてくれるスパイダーマン好きならどうあっても楽しませてやるぞという意気込みすら感じられました。

要するに定められた悲しい宿命を自分の力で切り開いてやるぞというのがこの映画がメインで描いているところですね。
その対比みたいなものとして結構コミカルな言動を終始描かれて最終的に狂気を見せてきたこの作品のスーパーヴィランのスポットなのかなと。

スポットは自分自身を自分の能力の調査のために実験と表して下手をしたら命を落としかねないようなことも躊躇なく行います。
その行動原理にあるのは、スポットになってしまった自分の運命を受け入れているのではなく、諦めて投げやりになって、それで狂気を徐々に膨らませていったのかと。

スパイダーマンシリーズの名言に、ベンおじさんの「大いなる力には大いなる責任が伴う」がありますが、まあこの言葉自体はスパイダーマンシリーズがというよりは古くからの格言のようなもので、同シリーズのメインテーマのひとつでもあるわけですが、言ってしまえばスパイダーマンと戦うスーパーヴィランたちはスーパーヒーローになり損なった人物たちです。

あとはなんだか年齢を重ねて特にそうなのですが、涙脆くなってしまったオッサンの私は、グウェンとその父親の蟠りが解れていくシーンできましたね。

ただでさえグウェン・ステイシーはスパイダーマンシリーズの人気キャラクターの一人で、そのグウェンがスパイダーマンになったという人気が出ないわけないキャラクターであんなのやられたら、それはもうという具合。

このグウェンと主人公のマイルズの距離感というのももどかしさを感じさせつつも焦れったくない丁度良いもので、それもこの映画が丁寧でかつ面白い作品だからでしょう。

続編ありきの構成とはいえ、どこにも非の打ち所が私は見当たらないので星5の評価になりました。
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