春とヒコーキ土岡哲朗

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ここまで楽しみにさせられたら、クリフハンガー最高。

アニメーションがかっこよすぎる。前作同様、いろんなタッチのスパイダーマン、動くコミックのようなタッチ、パッチワークのような絵がかっこいい。そして今回新たに加わったのが、敵のスポット。彼が穴を開けて空間移動する描写がドキドキを増やしてくれた。

本当の自分を明かさないことでの孤立。グウェンもマイルズも、スパイダーマンであることを秘密にしているために親との関係が悪い。隠し事をされたら親が子供を信じてられないのも仕方ないが、スパイダーマンであることを明かせないのも仕方ない。そこでお互いを分かり合えるのが、マルチバースのスパイダーマン。

でも、今回マイルズは、そのスパイダーマンたちにも嘘をつかれていたことが後半で発覚する。本人を傷つけないために言えなかったのはわかるが、マイルズからしたらスパイダーマン同士でも隠し事される関係で仲間なんていないんだとショックを受ける仕打ち。

グウェンの話からスタートして結構進んでから、マイルズの話も結構時間をかけて立ち上げていて、「起承起承転結」になっていた。話が動き出すまで長いとは思ったが、どちらの起承も面白かった。

不安と恐怖と、救いに囲まれて「つづく」。めちゃめちゃ『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の終わり方。主人公が元の自分の世界に帰れずに終わってしまう。マルチバースの行き来をにぎやかに描いていた映画なのに、最後に違うバースに置いて行かれた様子をちゃんと怖く演出できているのがすごい。さらに、この世界の自分がヴィランになっているのは、同一人物である自分にも悪人になりうる闇があると突き付けられている。このネガティブの叩きつけの連続も大興奮だし、その分そのあとが勇ましい。
グウェンが彼の救出を決意し、味方スパイダーマンたちがマイルズ救出のためにチームになって終わる。頼もしさもあるし、グウェンがそれを「合うバンドがないなら自分で作る」と語ることで彼女の物語に結論が出た快感も重なる。
クリフハンガーで終わる映画を観ると、続きばかり気になってもったいない気もするが、この映画は「次回につづく」の味わいがあまりによかった。