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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのtotsu9pieroのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

前作を大きく超えた2作目。

ヌエバヨークの天へと向かう電車?ロケット?でマイルスとミゲルが戦い、スパイダーマンであること自体を否定されるも、それに抗い立ち上がるシーンが本当に良かった。
「みんな寄ってたかって僕の物語をこうなるべきだって言うけど、、、」
進みたい学問の道(表の顔)も親にはとやかく言われ、言いつけが守れないと外出禁止を食らったり、それに加えてスパイダーマンでもなかった。まだ人格形成もできておらず、まだ大人に片足突っ込んだようなくらいの若きヒーロー。
表の顔も裏の顔も誰かによって否定されかねない状況でも、母親が屋上で話した温かい言葉や、父と共にアルケマックスでスポットを捕まえ損ねた時にこぼした父の苦悩にもみられるような、両親の深い愛情がマイルスを奮い立たせている。そう思うと胸が熱くなる。

またグウェンの物語としてまとまっているのも良い。
序盤がグウェンで展開されるが、途中からはほぼマイルス視点になるため導入だけの変化球かと思っていたが、最後にちゃんと締めくくる。殺人犯、犯罪者に対する警察という姿勢から、かけがえのない娘の(この世でたった一人の)父親として向き合うことができた父。隠さざるを得ない正体を知ってしまった相手に、大事なのはお前だけだという返答は反則だった。
バンドがうまくいかなかったグウェンが、他になす術がなく入ったスパイダーソサエティからも弾き出され、自分の居場所を再確認し、最後に出した答え。胸が熱くなるとともに今後の展開にも繋げていく良い締めくくりだった。

隠してきた正体、周囲からの受け入れというのはマイルスにもある問題。
意図せず力を与えられ、その使命感で続けてきたが、その生活はうまく行っているとは言えず、両親ともすれ違いが起きてしまう。まだ若いからこそ家族が億劫に感じるくらいにそばにいて、息子として愛されている。それほどに距離が近いからこそ、本性を明かさずにいることが彼の心に少しずつ影を落としている。
その悪い例がグウェンに起こったことだった。父親は親友の仇がスパイダーマンだったと思っているため、娘の正体を知った時に、娘の父である姿勢よりも、殺人犯、犯罪者に対する警察という姿勢で受け止めてしまった。近い存在だからこそ、ショックが大きく、これまで正直に話さず嘘をつき続けてきたことも響く。
アース違いで、マイルスの正体を両親が知ることはなかったが、どうなるのか次回作に期待。

グウェンのアースの色彩が心情とリンクしていたり、スパイダーパンクのコラージュされたポップなデザイン、パヴィトルのアースでの街を縦横無尽に駆け巡りながらの戦闘など、視覚的にも前作を大きく超えてきた。

前作も良かったが登場人物の掘り下げ、音楽、ビジュアルがさらに超えてきた今作。大筋のストーリーは途中で切られているため、次回作を観てからとなるが、なかなかどこに着地するのかわからない終わり方。ここまで素晴らしい流れで来ているため、期待半分、こんなものかと思ってしまうのが怖い気持ち半分。
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