アキヒロ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのアキヒロのレビュー・感想・評価

4.5
いろんなテーマが複合的に入っていて、めちゃくちゃ面白かった。
まずは本作のヴィラン"スポット"との因縁。
スポットはマイルズのせいで人間ではなくなってしまい、くしくも次元を生み出す能力を持っている。
これはマルチバース内を縦横無尽に行き来する「バースシリーズ」ならではのヴィランで、まさに目には目を歯には歯を的な敵だろう。

もう一つはスパイダーシリーズ全体に起きている「カルマ問題」。
スパイダーシリーズでは、主人公全員が大事な人を失う経験をしており、それによって心身共に成長を遂げる「通過儀礼的な悲劇」が全員に起こっている。
これを本作では「カノン現象」と呼んでいた。
これは「大事なものの喪失と引き換え」に起こるもので、喪失する機会を失うとマルチバース全体の崩壊にも繋がりかねない、というセンシティブな問題らしい。
これは近年、日本の「セカイ系アニメ」でも取り上げられているテーマで、例えば『君の名は。』では自分の彼女と世界の破滅を選択しなければいけない状況で、どちらを選択するのか?ということがテーマになっていたりする。
果たしてマイルズはどうするのか?その回答にも次作興味が湧く。

そして最後にマルチバースのマイルズがヴィラン"プロウラー"になっていた問題。
これは初期スパイダーマンでもシンビオートに犯された黒スパイダーマンと戦う『スパイダーマン3』があるが、「自分との戦い」はあらゆる少年漫画でも最もポピュラーなテーマだ。
これを次作でどう処理するかにも期待が高まる。
アキヒロ

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