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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのbebeのレビュー・感想・評価

3.2
 スパイダーマン愛ゆえに、marvel愛ゆえに、観ておかなければいけない映画だと思った。
 第2段にして早くも多次元宇宙崩壊の危機。マルチバースを扱う作品群がいずれ取り組むことになるだろうテーマだが、いささか手垢がつきすぎた印象。また際限なく広がる多次元宇宙は、2時間半の映画には収まりきらない。

 冒頭はすごく楽しい。前作との繋がりを感じる。それはストーリーが、構成が、とかいう話ではなくて、絆という意味で。
 一方、話が進むにつれて色調が落ちて攻撃的に。サイバーパンクやウォッチドッグス的な、SFディストピアへ向かう。個人的にはここで消化不良を起こした。視覚的にもストーリーにおいても、前作のような繊細でいて鮮やかな色彩感覚が損なわれたことで、単調ながら収拾がつかなくなってきた印象がある。一旦、次回作に期待。

 映画スパイダーマンというより、マルチバースの映画になってしまった感が否めない。最終的な評価等は次回作によって決定されるのだろうが、果たして2作目でこれほど大きく物語を展開するべきだったろうか?(『アベンジャーズ』にせよ、『スパイダーマン』シリーズにせよ、過去作の土台が非常に充実していた。スパイダーバースは割合と独立した世界観の中にあってマルチバースを扱えただろうか。)テーマが先行し、急ぎすぎた印象がある。あくまで暫定的に、だが。

 アニメーションについても、前作の荒々しくもコミック感残る絵は好みだったが、今作はややリアリティを追求したように思われる。個人的には前作の重要な評価ポイントだと思っていただけに、肩すかしを食らった気分だった。

 こればかりは押し付けるつもりはないが、この映画を通して観たいのはスパイダーヒーローとヴィランのストーリーだった。もちろんスパイダーマンが複数登場するのは楽しめる。各々、正義感は違っていいし、ヴィランの能力や強さにこだわるつもりもない。だが少なくとも、マルチバースの仕組みが知りたいわけではなかった。
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