ちゅんしゃー

はりぼてのちゅんしゃーのレビュー・感想・評価

はりぼて(2020年製作の映画)
3.8
「ざわざわすることがドキュメンタリーの神髄」

脂ぎったおじさんが不正を暴かれて謝って辞めていくのは、なんともカタルシスがあってよい。しかも不正はかなり幼稚なやり方で、部外者から見ると「そらバレるやろ」なんて心の中で突っ込みながら、最初の2,3人ぐらいは「バッカでー」と思いながらゲラゲラ笑って見れてしまう。
音楽もへっぽこ(へっぽこという表現がちょうどいい)で、議員の家に不正を追及する映像には、議員の顔に重ねて家の前の狸の置物のカットインまでご丁寧に入れて、めちゃくちゃわかりやすくされているのだが、それでも笑ってしまう。
だが、自民党以外の会派にまで波及していくとなんだか笑えなくなってきて、ついには開き直って辞めませんという奴まで出てくる。となると、なんだか心の中がざわざわしていく。

こういう「うわ~」と思いながら終わっていくドキュメンタリーは好物で、富山というのも距離感がちょうどいい。(大阪在住なので)
ただ、前述のメディアへの切込みがすこし中途半端だったのが少し残念かなあ。現在進行形の出来事を追っているので仕方ないのかもしれないが…。その現在進行形であることもこの映画の大事なところなので、悩ましい。