風来坊

フォートレス・ダウン 要塞都市攻防戦の風来坊のレビュー・感想・評価

3.0
2015年、中東のクルド人が暮らすエリア、ディヤルバクル。
ここで起きた反政府組織とトルコ軍の衝突を事実を基に描いた珍しいシリアの戦争映画。

圧政と弾圧に苦しむクルド人の若者達が武器を取って立ち上がる姿を丁寧に描いていますね。
ドラマ性に赴きを置いており、戦闘シーンなどを見る戦争映画とは違う感じですね。

戦闘も籠城戦というかゲリラ戦というか少ない人数で市街地で迎え撃つので派手さは無い。
ただ相手がすぐ近くまで迫って来る中で迎え撃つ緊張感はなかなか。

ロクに訓練もしていない戦闘の素人達が、トルコ軍の圧倒的な戦力に立ち向かう彼等の玉砕覚悟の決意には感じるものはある。もう黙っていられなかったのだろう…。
眼鏡女子が美人。こんな若いインテリそうな女の子でさえ戦わなければいけないなんて…。

米軍撤退後に急速にクルド人勢力と関係を密にしたシリアだけに、肩を持つというかクルド人側に寄って描いています。
トルコは極悪非道に描かれているのでフェアではないかも知れない。
まあトルコとクルドとの軋轢に関しては、トルコがかなり横暴だなと個人的には思っています。歴史とかが絡んでいて、そんな簡単な問題ではないですけど。

戦争映画としてはやはり地味であり、主張も一方的に肩入れし過ぎているので何とも言えないものがあります。
無謀とも思う作戦で、よくも少数でここまで抵抗したなと思う。虚しさ空虚かは感じました。
クルドの方や周辺諸国の情勢に詳しい方が観ると思うところが違うのだと思いますね。

まとめの一言
「笑顔で見送るのが切ない」
風来坊

風来坊