よねっきー

ハミルトンのよねっきーのレビュー・感想・評価

ハミルトン(2020年製作の映画)
5.0
濃密な観劇で脳みそが感激。韻踏んじゃった。

建国史と愛憎と運命が、ダンスと詩とヒップホップが、ビートに乗っかって洪水のように押し寄せる。アメリカ合衆国を産み落とした男と、それを語り継いだ女の物語。政治に覆われ難解かつ膨大なはずの情報を、スリリングな群像劇としてリズミカルに描き切ったリン=マヌエル・ミランダの手腕にただ拍手! 才気走ってるよ!

ハミルトンはどこまでも満足せずに成り上がり、のし上がっていく。貧しい男の出世と没落を描いた物語として普通にめちゃくちゃ面白いんだけど、それを支える楽曲とバイプレイヤーたちの凄まじさったらない。マジで助演者全員にスポットライトが当たる語り口の巧みさよ。

リプリーズって今やどのミュージカルも常習的にやる手口なわけだけど、この作品においては物語が「韻を踏んでる」ように感じられるからすごい。そう考えると終盤でハミルトンが"rise up"と"Eliza"で韻を踏むのは象徴的だ。ただの繋ぎではなく、運命のいたずらのように響き合うリリック。

みんなそうだと思うけど「郊外は静かね」の台詞でポロポロ泣いてしまった。台詞すべてが詩であり、リリックであり、歴史を語る「ことば」だ。どんな形であれ言葉を紡ぐひとは美しい。そしてその意志を「ヒップホップ」として解釈することは、過激に見えて何も間違っていないのだ。
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