イチロヲ

未亡人 初七日の悶えのイチロヲのレビュー・感想・評価

未亡人 初七日の悶え(1993年製作の映画)
4.0
浅草を闊歩する破戒僧(佐野和宏)が、福祉課職員の夫を殺害され、未亡人となった女性(小川真実)を庇護するべく、悪徳組織に肉薄していく。浅草の再開発を背景にした反権力闘争を描いている、新東宝配給のピンク映画。原題「坊さんが屁こいた」。

映像自体は90年代のものだが、トラディショナルな雰囲気を大事にしているため、良い意味で年代設定が明確化されていない。完全に「日活ロマンポルノが通った道」だけども、ピンク映画ならではの換骨奪胎に成功している。

何よりも、本能に忠実なファンキー坊主が、アクティブに動き回るだけで絵になるところが心憎い。軍服姿の浮浪者(小林節彦)、全共闘世代の始末人(下元史朗)などといった芸達者な男優陣が、丁々発止の掛け合いを見せてくれる。

終局が近づくと、地上げ屋を指揮しているキリスト教徒の悪女(摩子)が、破戒僧とセックス対決を展開させる。そして、喪服には緋襦袢と同等の婀娜っぽさがあることを、あらためて痛感させられる。
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