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モンスターシンフォニーのdm10foreverのレビュー・感想・評価

モンスターシンフォニー(2012年製作の映画)
3.7
【オノマトペ】

見終わったあと、ちょっぴり「ほっこり」をもらえる作品。
デッサン画のようなシャープなタッチなんだけど、描かれているキャラクターたちに温かみがあって、どこかに懐かしい匂いを感じる。

3分と非常に短いお話ではあるんだけど、端的に「子供の夢の世界」を表すには丁度いい長さなのかも。
あまり長くして壮大な話にしちゃうと意外と着地が結構大変よ、これ(笑)。

この作品を観て真っ先に頭に浮かんだのは「かいじゅうたちのいるところ」という作品。
絵本が原作の映画ではあるんだけど、世界観は絵本のまんま。
それが良くも悪くも・・・っていう作品ではあるんだけどね(笑)。
個人的には結構好き。
それこそ「かいじゅうたち」は着ぐるみ感丸出しなんだけど、主人公マックス君の少年期特有の多感な感性のメタファーとして現れるいろんな性格のかいじゅうたちが段々愛らしく感じてしまう。
起伏も少ないし、盛り上がりにも欠ける作品なのに、ずっと印象に残っている不思議な作品。

他にも、「トトロ」や「ゲゲゲの鬼太郎」、「妖怪ウォッチ」とかの妖怪モノなんかもそうかもしれないんだけど、子供たちの心の中に住む「かいじゅうたち」を絵で表現すると意外とこういう感じなんじゃないかな・・・って今回の作品を観て改めて感じた。

小さな女の子が指揮者となって「かいじゅうたちのオーケストラ」で大人たちを驚かせちゃえっていうお話なんだけど、女の子(子供)からすると「車のエンジン音」も「シャワーからお湯が噴き出す音」も、けっして騒音ではなく「楽しい音楽」に聴こえているのかもしれない。
それは雨音を「ぴちぴちちゃぷちゃぷ」と例えるのと同じように、楽しい音=音楽に変換されていくような楽しい作業。

子供のころに、スーパーの駐車場でいろんな車を見るのが好きだった。
車のライトが目に見えたりグリルが歯に見えたりして、車ごとに色んな顔をしているように見えていた。

「この車は目つきがキツネみたいだな」とか
「この車はメガネかけてるみたい」とか。

そういう子供の想像力の中で、もしかしたら車の(ブォ~~ン)っていう音は「体の大きな鼻の長い怪獣の鳴き声」に聴こえるのかもしれない。シャワーの(シャ~~~)という音は、小さなイタチみたいなかいじゅうの威嚇の声」に聴こえるのかもしれない。

でも、大人たちは気がついていない。
それは女の子だけが気がついている「かいじゅうたちがいるせかい」。
こっそり準備して、大人たちがビックリするような大きな音を出してやれ!

大人になるにつれていろんな音を「うるさい」と感じるようなってしまったのかもしれない。
世界は色んな音で溢れていて、心持ち一つで「好き」にも「嫌い」にもなれる。

この女の子みたいに純粋に音を楽しめたら、世界はもっと楽しくなるのかもしれない。
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