映画男

SEXマシーン 卑猥な季節の映画男のレビュー・感想・評価

SEXマシーン 卑猥な季節(2005年製作の映画)
3.0
あらゆる点でムカつく映画だが許せてしまう何かがある。

ヒモ男がバスでシングルマザーと出会い、降りた駅でいきなり性行為を求める。当然観てる側は、男は拒絶されるとおもうのだが「家に帰るまで待てない?」と女は言う。この時点でこの映画は我々の常識が一切通用しない非人間的物語だと気づく。それから先はお決まりのように濡れ場が延々と続く。この映画の主軸になるのがコオロギ相撲。暇を持て余した男たちがコオロギを採取して、闘わせるのだ。ヒモ男はこの競技にのめり込む。そこでライバルも登場してしょうもない闘いが繰り広げられる。ほんとうにくだらない展開がずっと続くのだがなぜか許せるし、観ていられる。その要因として考えられるのは、クソみたいな物語のくせに映像がやたら美しいこと。ビスタサイズの鮮明な映像で構図も作りすぎず外しすぎない丁度いい按配。あえてだとおもうがあからさまなアフレコの多用も悪くなかった。日活ロマンポルノ的な空気感をだして、しかもいやらしさがない。映画の空気にしっくりおさまっていた。

そして決定的にこの映画のあらゆる汚点を許せてしまうのは、主人公のヒモ男ののびのびとした演技だろう。声も動き方も明らかにルパン三世を連想させる。コミカルで爽やかで愛らしい。このキャラクターを作り上げた時点でこの映画は勝ちだ。ほんとうにくだらない映画だったがどうしても嫌な気はしなかった。ちなみにDVD版のタイトルは「卑猥」。脚本のもともとのタイトルは「ヒモのひろし」。「sexマシーン〜」は劇場版のタイトルなのか?
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