ナイト・オブ・ザ・リビングデッド?
ああ、ゾンビ映画だっけ?
黙れ!俗物!
【暗黒笑話】
もちろん、私の造語です
邦題「アードマン・コレクション」
原題「Aardman Collection Vol.2」
2002/4/28@シネマ・クレール丸の内
評者 ほーく
評価 4
ひとこと ブラックジョークのお膝元
<コメント>
ストップ・モーションによる、短編アニメで有名なアードマンの、短編集である。
正直、字幕情報が少なすぎ、また時代背景、舞台、社会情勢などの諸知識に疎いため、笑いのツボが分かりかねるのが、海外ブラックジョークの難点である。いや、もともとブラックジョークというものがそういうものであろう。そこで、ついつい、日本のブラックジョークの成熟度などに興味が移ってしまいかねないのだが、これはあまりにも危険な誘惑なので、ここではやめておこう。
本来が、子供をターゲットにしていたアニメーションを、大人向けに、しかもブラックジョークてんこ盛りで、というスタイルは最近では少なくなくなってきた。しかし、20年近く前に制作された作品を目の当たりにして、つくづく思うのはその重さである。
笑いは、決して軽くはない。徐々に増大していく不安に耐えきれなくなり、ひとは笑いに救いを求める。その圧迫の演出。時に静寂であり、時に騒々しくあるが、なにしろ、そこには不安が満ちている。死の不安、孤立の不安、自我崩壊の不安、これらは最近では、癒し系と称される柔らかな笑いでコーティングされ、なるべく傷口を深くしないように演出されている。作り手も受け手も傷つくこと・傷つけることを避けるがごとく。ところが、このアードマンのスタイル、特に80年代後半から90年代前半の作品には、それを正面からえぐるように描いているといった印象がある。これは主に当時の英国の社会情勢を反映しているのであろうが、この剛毅さはわたしには感動すら覚えさせるのである。