【プレイボーイvs小娘】
ドン・ファンと並んでプレイボーイとして有名なカサノバ。ただしドン・ファンは伝説上の人物だが、カサノバはれっきとした実在の人物。
その百戦錬磨のプレイボーイが、小娘に翻弄されるというのが、この映画の筋書。
この映画のミソは、ヒロインにステイシー・マーティンを選んでいること。このキャスティングが、本作品の鍵を握っている。
彼女は細身で、実年齢で言えば今年30歳だが、どこか少女のような趣きがある。生硬で、女として熟していない感じ。また、典型的な美人とは言えない容貌だ。
彼女に比べれば、作中でカサノバが帽子店に同行する婦人は、典型的な熟女で美人。カサノバとの情事でもやり方をそれと心得ている。
これに対してヒロインは、そういう定型を知らないか、敢えて無視している。といって男女間のことを心得ていないおぼこ娘ではない。基本的には娼婦なのだから。
こういう設定が面白いと思えるかどうかが、この映画に対する評価の分かれ目だろう。
私としてはそれなりに楽しめたのだが。
カサノバ役のヴァンサン・ランドンも18世紀のヨーロッパ上流階級に属する中年男を好演。