Foufou

シドニアの騎士 あいつむぐほしのFoufouのレビュー・感想・評価

2.0
なんか、もう、ウェット過ぎて、いくら忍耐強い私でも、さすがにウェーッとなります。

感動ポルノなんて物凄い言葉がありますけど。

日本映画は感動/感傷の押し売りをいい加減やめるべきだし、観客も感動/感傷をねだるのを控えないと。そうでないと、映画に限らず、漫画にしろ小説にしろ、成熟していかないんじゃないか。

歌舞伎の口上みたいなまどろっこしい演出も、マジいらんです……。敵が、「ちょっと待て、聞いてくれ……」って、お約束ってやつですか、いやいや、甘えるのも大概にしなさいよ、と。中露艦隊は津軽海峡を通り抜けましたよ。お約束では済まない日がすぐそこまで来ているんじゃないのか。

濾過した自分のおしっこを男の子に飲ませてみたり、化物とロボットをランデヴーさせてみたりと、なかなか倒錯的で面白いところもありましたけど、「宇宙の記憶装置」とか、世代交代でしか種を存続することのできない人類の「限界」を超えるとか、むしろ作り手の想像力の限界を感じます。絵がとても綺麗で、静謐であるのが好もしいだけに、言葉による世界観の説明は極力切り詰めるべきだったのではないか。

観念的と呼ぶことすら躊躇されるような取ってつけた似非形而上学を振りかざしたところで、それで人は命を張れるものではないでしょう。張れるというなら、それはもはや洗脳されてるからで、そういえば一歩引いて眺めると、シドニアってカルト集団に限りなく似ているんじゃないか。ハルマゲドンなんかより、中露艦隊のほうがよっぽど怖いでしょうよ。アニメの戦争が現実のメタファーである必要はもちろんないんだけど、現実に対する批評性は多少なりとも持っていいんじゃないか。というか、深く掘り下げたフィクションは自ずと現実と通底すると思うが、どうか。いや、この、なんだかんだで「愛」の一語ですべてを収めようとする能天気ぶりこそ、いまの日本のメタファーそのものだと言われれば、困惑しきりなわけで。

というわけで、なにを見せられているのやら……と終始キョトンとなってしまいました。それにしても、やっぱコレ、エヴァの異音同曲ですよね。
Foufou

Foufou