不良グループを率いている泣き虫の少年が、権力者の両親をもつ令嬢と恋仲になってしまう。身分違いの恋愛をユーモア満点に描いている、ラブ・コメディ。ジョニー・デップの初主演作。
舞台は1950年代のメリーランド州ボルチモア。ロカビリーに傾倒している非行グループ「ドレープス」と、良い子ちゃん気取りの「スクエアーズ」。対極に位置するコミュニティのアイドル同士がくっついたことにより、両陣営が正面衝突を引き起こしてしまう。
主人公のグループは「臭いものに蓋」の精神に対して反抗的な態度を示すが、特段悪い奴らというわけではない。非行グループの生態描写に監督の作家性が反映されており、爪弾き者のアナーキーなキャラクター像を楽しむことができる。
主人公の仲間に、ポルノ女優からの脱却を目指している最中のトレイシー・ローズがいるのも密かな醍醐味。権力組織を凌駕した瞬間のカタルシスはイマイチ弱いが、前作「ヘアスプレー」から引き継がれているミュージカル演出に磨きがかかっている。
