いずみたつや

アウトポストのいずみたつやのレビュー・感想・評価

アウトポスト(2020年製作の映画)
4.2
周囲から丸見えの恐ろしい環境で、昼も夜もなく繰り返される戦闘。敵の襲撃はこちらがシャワーを浴びていようが寝ていようがお構いなし。

まったく生きた心地のしない状況であっても、冗談を言い合ったり、家族を想ったりする日常がある一方で、命を奪い合うことも「日常」であることがまざまざと見せつけられます。

目の前を歩く人が直後には肉塊に変わり果ててしまうような日々の中で、どれだけ命を重んずることができるか、というのは本作のテーマのひとつです。

ひとりひとりの兵士の名前がしつこいほどにテロップで挿入されるのは、命の重みに誠実であろうとする態度の表れではないでしょうか。

本人役で当事者を起用する手法も、できるだけリアルに近づきたいという熱意を感じます。出演した兵士の人にフラッシュバックは起きないのか…と心配になりますが。。

役者のなかで印象に残ったのはケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。『アンチヴァイラル』で「なんて病的で危険な香りのする人なんだ…」と衝撃を受けて以来、大好きな俳優です。本作でも登場する度に不穏な空気を張り詰めさせて、えも言われぬ存在感を発揮していました。

次々と上官が入れ替わることのシワ寄せを受けて、最前線の兵士たちが苛立ちを隠せないところは末端社員として身につまされたのでした。