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ねばぎば 新世界のMOCOのレビュー・感想・評価

ねばぎば 新世界(2020年製作の映画)
2.5
「当方未熟な年寄り、喧嘩喧嘩に明け暮れて、ついたあだ名が『新世界の勝吉(かつきち)』潰した組は数知れず。
 やっと出会えたボクシング、タイトル戦前日に絡んだヤクザを懲らしめ刑務所へ・・・」


「ねばぎば」って聞いたことあるけど何だったっけ・・・。
「ねばぎば・・・」「ねばぎば・・・」いったい何だぁー。「ゲバゲバ90分」なら知っているぞー。と、 悩む間もなくYahoo検索したら『never give up』のこと、ピンとこなかった自分に情けなくなる今日この頃・・・。


 勝吉こと村上勝太郎(赤井英和)は、かって弟分・コオロギこと神木(こうのぎ)雄司(上西雄大)と二人で、腕力で暴力団を潰して回っていたのですが、営んでいたボクシングジムの生徒がジムを中継地にして麻薬の取引をしたためにジムは閉鎖して、昔の面影もなく知り合いの飲食店で働き日々の生活を送っています。

 ある日、勝吉は母親が宗教団体メラクに入信し、父親が家を出ていってしまった徳永武という少年に出会います。
 武は口が利けない少年で、宗教にはまりこんだ母親がメラクにお金をつぎ込むためにろくに食べ物も・・・。

 別の日、刑務所へ見学に訪れた勝吉はシャブに手を出し服役中のコオロギと偶然再開します。話を聞いた飲食店のおやじが保証人になってコオロギは仮釈放で勝吉のところへ帰ってきます。

 暴力団を潰し回っていた若い日、勝吉とコオロギはボクシングジムを経営する須賀田元(西岡徳馬)に助けられジムに誘われるのですが、コオロギは並んだ文字が記号に見えてしまうゲシュタルト崩壊のために、ボクシングの筆記試験を恐れ勝吉から離れてしまい、勝吉はデビュー戦前日の喧嘩で刑務所に入れられてしまったのです。

 勝吉は武をかくまうのですが武はラメクの信者に連れ去られ、勝吉とコオロギは武を取り返しに行きます。
 何故かメラクには元の娘・琴音(有森也実)が上級幹部になっていて、琴音の一言で二人の殴り込みは中断されて、武は一旦帰されるのですが、メラクには関連ヤクザや大物政治家(副総理)が絡んでおり・・・。

 勝吉とコオロギは武のためにメラクと徹底的に闘おうとするのですが、メラクはコオロギが手にすることができるようにシャブを置き・・・。
 
 コオロギはしゃべることのできない武が発する声に救われジャブの誘惑に打ち勝ちます。
 勝吉は武のマインドコントロールを解くために閉鎖中のジムを手放しお金をつくります。
 コオロギは昔勝吉が救った屋台の男の娘に文字を克服する方法を教わります。

 二人はメラクに乗り込み、意気込む勝吉は琴音から入信の理由がタイトル戦前日の自分の喧嘩にあった事実を知らされ闘う気力を失くしてしまうのですが、コオロギの「never give up」の声で奮い立ちます。

「無双の鉄拳」でマ・ドンソクが圧倒的な力で圧倒的な数の敵を倒していく強さには引けを取るのですが、勝吉とコオロギは武と武の母親のため、恩人須賀田元とお譲(琴音)のためにメラクを崩壊へ追い込んでいきます。

「ええ人間は顔見たら分かる。一発や」金の工面に困っている勝吉に手を差し伸べる飲食店を営む自分の旦那を奥さんが自賛するのですが、勝吉とコオロギの回りには「ええ顔の人間」が集まります。とりわけ飲食店のオヤジと亀仙人のようにめちゃ強いじいさんは魅力的で、この監督の人物描写の上手さが光ります。なんだか凄い監督みたいです。
 気がつきました?コオロギは監督・脚本の上西雄大氏が演じているんです。

 観終わるとなんだか語りたくなってしまう映画です。映画評論家荻昌弘さんが言っていた「安っぽい映画には安っぽい映画の面白さがある」っていうまさしくあれです。 
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