真田ピロシキ

ウィリーズ・ワンダーランドの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.7
今は出先なんだけどどうせTVは不愉快になる選挙か例の事件の話しかやってないだろうから目に入れたくない。そしたらTwitterでニコラス・ケイジの物理無双な映画の話を見かけてそりゃ面白そうと思って見てみた。それにしても例の件でTwitterするのも苦痛なほど心が痛いと言う人をたくさん見ましたが、普段他の色々な無辜の人が殺された時には何のお言葉も発していなかったのに、権力者が殺されたときだけ繊細なお気持ちを表明できるなんてお優しいですね!

この映画のケイジさんはそんなご都合主義に塗り固まった方々とは違い、何物にも揺り動かされない硬すぎる芯を持っていて、ハメられて車を直してやる代わりに呪われた遊園地の清掃を押し付けられても引き受けた以上はやり通すプロフェッショナル。例え殺人鬼の悪霊ロボットに襲われても一切動じる事なく邪魔者は物理的に叩き壊してゴミ袋行きで、血文字で脅してきても普通に消して仕事続行。時間になったらビールを飲んでピンボールで遊ぶように休憩も忘れない。決して相手の土俵に立ってやらないから恐れずペースを乱されない。しかもケイジさんは劇中一言も発しないのでより一層ゴルゴ13のような鋼鉄の意志が感じられ強者感を増す。これが凡百のB級映画でやるとただのしょっぱいオッサンがカッコつけてるだけだが、流石のケイジなのでこれも決まってる。そんな人に弱者を喰いものにしてきただけの殺人鬼風情が悪霊になったくらいで敵わないはず。このケイジさんは本物の強者なんだよ!手を縛られていたら勝てると思って襲い掛かりあっさり返り討ちにあうのが奴らとの絶対的な格の違いを表していた。この調子で弱いものイジメしかできないジェイソンやフレディみたいな奴らもボコボコにしてやってくれないかな。しかし来訪者を生贄にしていた町の保安官が悪霊を滅ぼせると信じられずに、ケイジさんを銃で脅して悪霊に差し出そうとしたら先に自分が殺されてしまうのは現実社会で自分達の首を絞めるような勢力を進んで支持してる状況が重なって悲しい気持ちになった。こんな映画からでも感じ取れるものは大いにある。

ケイジさんは最高だが途中から加わる若者グループはありがちな殺され役で退屈。特にあのカップルはあそこがリアルに呪われていると分かっているのにヤリ始めるのはどういう脳みそしてんの?こんなホラー映画の因襲に凝り固まった独創性のない演出はいらなかったよ。副主人公のリブと育ての親である保安官の関係も、保安官が殺されても特に言及なくて、そんな描写入れても退屈だろうが設定した意味が分からず。最後リブがケイジさんについて旅立つのも、徹底的に我が道を行ってたのが良かったのに突然若い女にチヤホヤされると吐き気がするほど嫌いなナーメテーター映画臭さが少し感じられて評価減。でもこの人も悪霊ロボット1体倒す豪の者だしいいのかな。悪魔ハンターコンビ結成。悪魔も泣き出す!