ぶみ

ウィリーズ・ワンダーランドのぶみのレビュー・感想・評価

3.5
地獄は終わらない。

ケヴィン・ルイス監督、ニコラス・ケイジ主演によるホラー・コメディ。
廃墟となったテーマパークの清掃を請け負った男が、動かないはずの動物型ロボットと対峙する姿を描く。
先日観たエマ・タミ監督『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』のレビューの中で、ちょいちょい本作品の名前が挙がっていたため、迷わずチョイス。
主人公となる男をケイジ、テーマパークの現オーナーをリック・ライツ、町の保安官をベス・グラントが演じているほか、エミリー・トスタ、クリス・ワーナー等が登場。
物語は、冒頭、シボレー・カマロで疾走する主人公が登場するのだが、カマロを運転するケイジがまあ似合うこと。
そんなシーンも束の間、カマロがパンクし、修理をしたところ現金を持ち合わせていたかったことから、廃墟となったテーマパーク「ウィリーズ・ワンダーランド」の清掃をすることとなった主人公の一夜が描かれるのだが、まあこのケイジ演じる男がなかなかのクセ者。
カマロを乗り回すぐらいなので、それなりの収入はあるのだろうが、最後まで名前が明かされないことを筆頭に、定期的にアラームを鳴らして休憩を取っては、謎の缶入り炭酸飲料を飲み干し、反面清掃の手際は素晴らしく、ロボットに対しては無双になり、そして何より喋らないという謎だらけのキャラクターとなっており、そのある意味ルーチン化され、無駄のない行動は、最近観た中では、ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』の主人公・平山か、はたまたデヴィッド・フィンチャー監督『ザ・キラー』の主人公となる名もなき暗殺者を思い出した次第。
そんな中でも、狂気の笑顔でピンボールに興じたり、ロボットに対して静かにブチ切れる様は、もはやケイジの真骨頂と言えるものであるとももに、鳴り響く劇伴が、なぜか昭和のディスコサウンドを彷彿とさせるものばかりで、これまた本作品の世界観にピッタリ。
確かに、前述の『ファイブ〜』の予告編から想像した内容は、まさに本作品のようなこと。
本作品ではクレジットのフォントもドットが粗いものが使用されていることから、ゲーム要素も盛り込まれており、本来のゲームの映像化作品がこちらだと言われても遜色のない仕上がりになっているとともに、無駄に登場する若者たちが、あっという間に殺されたり、廃墟の中でコトを始めたりといったB級ホラーあるあるも散りばめられた怪作。

将来を語れば神が笑う。
ぶみ

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