携帯電話には"その人"が詰まっている
大切な情報、楽しかった想い出
嬉しい連絡、趣味で繋がる仲間たち
…人には言えない秘密もたくさん
基本的に携帯はパーソナルなものだから
滅多に他人に全てを晒すことはしない
たとえ親しいパートナーや親子だとしても
三組のカップルに独身男一人、合計７人の携帯には
それぞれのささやかな秘密が包み込まれていて
一人の提案で僅かなひとときに
届いたメール、電話を共有するという試み
もしも自分がその場に居たとしたら
何の躊躇もなくすぐにロック解除できるだろうか？
最後までごねていたパラリーガルが携帯を取り替えたことをきっかけに
次々に参加者の秘密が零れ落ちて
一見穏やかな関係が少しずつ綻びをみせる
他のメンバーの意外な面を知り、驚き、少し笑い、けれども自分は大丈夫…という立ち位置をキープする筈が
いつの間にか、自身の胸の内を告白する羽目に陥っていて
災害事故を一緒に乗り越えた絆
立場も環境も違うけれど
それぞれが互いを思い遣る
そんな繋がりに翳りが見えた時
誰だって間違いを犯すし
失敗もするし、酷いこともする
最低だよ…でも、それって生きてるってことだろう？
違うかな？
みんなが生きてることが嬉しかった
"あの時"逃げ込んだ屋上で見た月が
太陽と地球の影を受けて
さまざまな貌を見せるように
人には
影も光もあり、違う姿がある
人生長いんですから
コンビーフはちょっぴりしょっぱい味がする
