おかだ

もう終わりにしよう。のおかだのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
4.3
私は過去に未練があるタイプの人間ではないし、忘れられないほど好きだった相手がいるわけでもない
むしろ、今が一番だと常に思っているタイプだ
しかし、今よりも昔のほうがもっと華やかで希望に満ちた生活を送っていたのではないか とも思わされた
年を取り、なれるはずだと信じて疑わなかった理想の姿を思い浮かべながら死への道を歩む自分が脳裏をよぎり、少しばかり虚無に襲われた
それほどまでに、この映画の引き込む力は素晴らしかった
そして、余韻に浸りながら冒頭の語りを観返してみると
"考えることは行動より真実や現実に近い"
" 言動と違って考えることにウソはない" 
という言葉が一層身に染みる


アイスのカップを捨てたごみ箱のカットがよかった
あれが無かったら意味分からんまま終わってたかも

※※※
2回目、すべてを知った上で冒頭から観ての追記
※※※

“人間だけが死は不可避であると知っている
他の動物はただ生きる
人間は無理だから「希望」を発明した”

私が描く希望とは、美味しい食事を楽しみにしたり週末を友人と過ごすということだが、これが生きる理由だと胸を張って言えるのだろうか
なぜ生まれ、何を為すべきかを理解するには人間が非力過ぎるということは承知しているつもりだが
“ウソで脳を満たせばあっという間に時が過ぎる”というセリフの如く、実際は死ぬまでの時間をただ浪費しているに過ぎないのではないかと考えさせられた

私はまだ若いので
少なからず希望を持って生きているし
この世の万物を理解するのは到底不可能だと思って楽観的に過ごしているが
人生のどこかで情熱の炎が消え、与えるものも
受け取るものもなくなったと気づいたときに
“ため息を日々重ねるよりは一気に過ぎればいい”
と人生の最後について深く考える時が来るかもしれない

歳を取ってからこの映画を見るのが正直怖い
おかだ

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