なんとなくで付き合い始めてしまった恋人に連れられ彼の実家を訪ねるが、両親は変な人だし土地全体が悪夢的・幻想的に歪みだすお話。
日本語版ウィキでみると「スリラー映画」とされているが、まあ「分類不能」という方が正確なのかな~宣伝しにくいかもしれないけど。作品内には不穏な空気がムンムンしていたし、邦題も怖い。
吹雪の中を行く長い長い車内での会話シーンなど、良いところはたくさんあった。しかし「いい映画」かどうかは分からない。
「資本の集中とか一部の投資家たちがハリウッドを支配するのはよくない!コミック映画の取りこぼしたものがたくさんあるはずだ!」とまでは言えるのだがじゃあアンタこういうの日常的に見ます?これが空虚な大作映画にたいするオルタナティブですよね?と問われると「い、いや、それは話が違うがな…」と途端に口ごもってしまう感じ。
監督のチャーリー・カウフマンは脚本家として「マルコヴィッチの穴」や「エターナル・サンシャイン」などの大ヒット作を手掛け、自身の作品でも「アノマリサ」など評価が高かった印象だが、インテリ層の憂鬱やら「無間地獄のような日常」やらを扱いすぎてさすがに玄人受けも鈍くなってきた感あり。
まあ内容云々より寡作すぎなだけかもしれない。
世の中コミックの実写化ばかりじゃ困る、こういう映画にも出たい!という役者さんの気持ちは伝わってきた。アート映画を手掛けて差別化をはかりたいネットフリックスと、若手の実力派として現在トップレベルに注目されてるジェシー・バックリーがいなければ成立しなかっただろう。