タイトルからも感じ取れるように、画面にはずっと不安や後悔、静かな怒りみたいなものが漂っている。
ルーシーが(そしてジェイクが)感じているこれらの感情は、理由は違えどどれも生きている中で抱えていかなければいけない普遍的なもので、自分が彼らに共感している観客なのか、彼らそのものなのかわからなくなってくる。
(この「自分と他者」の境界の曖昧さの感覚は、直接物語の構造とリンクしている部分があって、後から気づいてハッとしました)
序盤はルーシーの思考が断片的に散らばっていて、明確に分かるのは「彼と別れたくて悩んでいる」ことくらいなんだけど、ストーリーが進んでいくにつれてそれ以上に何か根源的な苦しみを抱えていることがわかる。
彼女が物理学者だったり絵描きだと言ったり、時間軸や会話、思考、発言にそれぞれまとまりや繋がりがない(途切れ途切れ)この違和感が何を示しているのか…
私は1度観ただけではバチッとわからなかったので、監督のインタビューや他の方の考察を読んでようやっと納得した感じです。
構造を理解した上でもう1度観たくなる作品でした。