ヨダセアSeaYoda

もう終わりにしよう。のヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
4.6
"自分が誰だかも分からない。
 ジェイクが私を選んだのは、他人に認められたいから。彼が認められるためだけに私の人生があるかのよう。"

【STORY】
 彼女は彼との未来が見えなかった。
 彼は彼女にいてほしかった。

 彼と彼女を乗せた車は吹雪の中、彼の実家へと走る。


【一言まとめ】
●ナチュラルに不快な空気が満ちる
●トニ様、安定の嫌〜な役
●私である、あなたである必要性は?


【感想】
 これは凄いものを観た…!って感じです。

 天才且つ勇者にしかこんな作品は作れないですよね。
 この雰囲気で「いける」と思って、本当になし遂げてしまうチャーリー・カウフマンって凄い‼️今後もっと監督兼脚本やってほしい‼️


 詩的で憂鬱な台詞の数々、見事に噛み合わず歯痒い会話の連続、トニ・コレット様の狂った笑い声…
 リアルにありそうな不快な空気がずっと漂い続けます。

 意味わからない言葉で話の腰を折られた時のやるせな過ぎる空気とか、本当にリアル。誰もが経験したことはあるであろう "嫌な空気" が再現されていました。

 トニ・コレットはすっかり "人を不快にする役" が定着してますね笑。『ヘレディタリー』『ナイヴス・アウト』に引き続き、本当に嫌な役。笑
 彼女は天才だと思います、本当に。


 人と人は、なぜ何のために恋愛関係になるんだろう。
 彼と一緒にいるのが "私である必要性" はあるのか?私が付き合うのが "彼である意味" は?深く悩まされる問いかけが随所にありました。

 確かにいますよね。
 "彼女に持ち上げられている俺が好き" な男。"ハイスペックな彼氏と付き合える私が好き" な女子にも、同じように言えるかも。
 相手からしたらどうだろう。記号しかない関係。互いが互いである意味は?そこに一度思いがいたった時、もう以前には戻れないのです。
 あーやだやだ。


 "女性の生きづらさ" は内容全体に大きく反映されていました。女性像について語る "彼女" の熱量からも、今作が強調したい1つのポイントがありありと見えましたね。


 人間は他の生き物と違って "ただ生きる" ことができないから、"希望" を発明した。というくだりも印象的です。

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観た回数:1回
直近の鑑賞:Netflix(20.09.08)
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