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もう終わりにしよう。のmのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
4.5
私のバイブル。
酸いも甘いも噛み締めた監督による厳しい作品。

まず大前提として、今作を観る前にチャーリー・カウフマンさんの手掛けた作品を観て欲しい。
『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』『エターナル・サンシャイン』それらを観てからでないと、彼の作風を知ってからじゃないと置いてかれる。
そして、上記の3作品も共通するが彼は人生というものをよく描いている。

今作を観る前にリンチ監督の『ロスト・ハイウェイ』を鑑賞したんだけど、それに似た感覚を覚えた。
なぜ私たちは映画に答えを求めるのか?
映画に答えが無ければならないのか?
今作と『ロスト・ハイウェイ』を観て、考察が必要じゃない作品もあるんだと私は教えてもらった。

ひとつの考察がここで賑わっているけれど、私は否定も肯定も出来ない。
それだけで片付けられるほど簡単でも無いと思うし、それは違うとも言えない。
ただひとつの考察に取り憑かれ、多角的な感じ方が無いレビュー欄は不気味だと思う。

他者と言い争いをした時その有耶無耶な終わらせ方や、譲れないことがあっても蓋をする感覚。
家族としてのあり方、家族としての終わらせ方。
介護、死、成長、学校、いじめ、トラウマ、教育。
そんな人生の流れが今作に描かれている。
『オクラホマ』を観ていないのでなんとも言えないけれど、終わらせたい、と痛烈に思う難題がいくつも描かれていた。
解決法は提示されていないけど、監督の感覚は私に新たな知恵を授けてくれた気がする。

時間の流れからして彼らは夫婦だと私は思う。
けれど2人とも人生に少しの苛立ちを覚えている。
それだけは確かだと私は思う。
人生、という厳しい現実が描かれている。

ラスト、なんとも言えないんだけどハッピーエンドだったのかなと思った。
空が晴れたから。

今作は他人事じゃない。
私は大切にしたい作品。

監督の作品はやはり映像が素敵。
母に教えてもらって観た『マルコヴィッチの穴』あの感覚が蘇る。
今作の階段シーンが大好き!

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★★
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★☆☆
メッセージ性 : ★★★★★
感情移入・共感 : ★★★★★
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