dm10forever

Z.N.のdm10foreverのレビュー・感想・評価

Z.N.(2020年製作の映画)
3.0
【今そこにある危機】

(あらすじ)配達ロボたちの日常がコンピューターウィルスによって突然様変わりしてしまった。
旧式配達ロボの主人公はゾンビ達から必死に逃れるのだが…(Filmarksあらすじより)

こちらも先日鑑賞した「現実を受け入れるべく夢を見る」と同じくショートフィルムホラーコンテストから(なんでも準グランプリ受賞作品とのこと)。

なるほど・・・・
コンピューターウイルスとゾンビウイルスを掛けたってことね。
それでタイトルも「A.I.」から「Z.N.」になったってことか。

舞台は近未来の日本ってとこかな?
もう人間が外に出て実際に作業を行うんじゃなく、全てA.I.ロボットがコマンド通りに実施してくれる。
人間は黙って家のソファーで寝転んでいれば、黙っていても荷物は届くし、料理も出てくるし、何なら仕事だって代わりにやってくれる、そんな時代になるのかもしれない。

でも、A.I.が「コンピューターウイルス」に感染し、暴走を始めたら・・・・。

プロットだけ見れば「A.I.の反乱」っていうよくある近未来ディストピア作品にもなりがちなんだけど、この作品では「意図的な対立」とかそういう匂いを一切持たせず、あくまでも「突然変異によってもたらされるパニック」をA.I.の視点から見るという描き方なんですね。

なので、考え方によっては中々怖い世界観ではある。

まぁ、作画がEテレでたまにやってるアニメくらいに可愛らしく描かれているので、直接的に「怖い」といとはあまり感じないんだけど、確かに今職場で使っているコンピューター(ネットワーク)がウイルス感染したら、恐ろしいくらいの速度で伝搬してしまってあっという間に業務が出来なくなっちゃいますもんね・・・。
そう考えると、これだけコンピューターネットワークに依存している社会が晒されているウイルス問題は、まさに現実的に「今そこにある危機」でもあるわけだ。
ビジュアル的に怖くない分だけ、色々とこっちが先回りして考えちゃったじゃないか。

ある意味では「ホラー」という概念に新しい風が吹くかもしれない、そんな作品。

「見た目」や「音」「感触」だけでは区分できない、潜在的に「もしかしたら・・・」っていう思考が追い付く現実的な怖さ。

このお話自体は「配達ロボ」っていう、見た目の可愛いロボットが主人公だったから何とも思わなかったけど、もしかしたら通信や設定で動く、世界中のありとあらゆる「A.I.」がいつウイルスに感染して暴走するかもしれないっていう危険性もあるってことでもあるんですよね。

世界中で稼働しているウイルスバスター(いわゆるウイルス駆除ソフト)が検出しているウイルスは、全体の半分にも満たないし、その中で実際に駆除できているのは20~30%程度しかないという現実。

あなたが使っているパソコン、スマホ、タブレット・・・
「ウイルスには感染していない」って言い切れますか?
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