ヒラリー

カナタ、遠くのヒラリーのレビュー・感想・評価

カナタ、遠く(2013年製作の映画)
3.7
藤井監督初期短編作品集
地方に住む主人公のカナタとヒカリとマサシ。
明言はされてなかったがカナタには軽度の知的障害があるのか、普通にスラスラ話せない。
兄姉のようにマサシとヒカリを慕い、二人もカナタを弟のように可愛がる。
マサシは自分が働く工場にカナタを招待し、お金を貯めて東京で暮らそうと約束する。
誕生日プレゼントで貰ったスマホで「ハローハロー」と話すカナタの姿は微笑ましいが家では父親からDVを受けていた。
ヒカリとヒカリの姉は物書きで家族の事を書き、マサシの父は強姦罪で捕まっていた。
皆それぞれ暗い影を落とし、口に出さずとも痛みを分かち合う関係
お金を貯めてここから出るという目標も、父親が給料を盗られる事によってカナタを引き留める。
TVで流れるニュース、偶然見てしまったもの、友情、金
仲睦まじいシーンで終わらないのが藤井監督…後半に進むにつれて自体は悪い方へ。
大人の汚さ、友達の狡さ、優しさ、色んな感情が混ざり合ってぐちゃぐちゃになる。
少しずつ失っていく色、その意味は。
もしかしたら、という期待を持たせて、少し気持ちが弾んだところであのラスト。
救われて欲しいけど救われない、私にも救えない。
捻くれてるのは分かってたつもり。けどやっぱり悲しくなってしまった。
ヒラリー

ヒラリー