統合失調症を発症したアダムという青年の物語。統合失調症の苦しみはもちろん当事者にしかわからないけど、本作を観て少しだけでも理解できたらという気持ちになった。
本作では、幻覚、幻聴、妄想、偏執などをとてつもなく恐ろしいものとして描くのではなく、“うるさいルームメイトたち”として描いているのもわかりやすくていい。何人かのキャラクターたちがアダムの頭の中にいて、それは自分が生み出しているんだろうけどアダム自身ではないことがよくわかる。
アダム役のチャーリー・プラマーが、この難しい役柄を違和感なく演じきっていてとても素晴らしかった。発作に襲われたときの真っ青で混乱した表情をあれだけリアルに出せるなんてすごすぎる。アダムを支える母親役のモリー・パーカーも、優しさの中にしっかり息子を支えていくという強さが見えてよかった。
きれいごとで終わらないで現実をしっかり描きながらも、希望もあるよというメッセージに勇気づけられる。