世界

僕と頭の中の落書きたちの世界のネタバレレビュー・内容・結末

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

Twitterで流れてきて、気になったので鑑賞。
友達と見た。

最初は頭の中から聞こえてくる声や、幻覚が面白いな〜と思ってた。登場する幻覚もユーモラスな感じで、笑って見てた。
正直自分も、統合失調症、まではいかないが精神疾患がある。割と自覚はしていて、上手く付き合っている(つもり)。幻覚や幻聴はないが、酷くなるとこんな感じなのかなぁ、とも思った。

ただ、途中のお母さんとの会話がめちゃくちゃキツかった。自分も経験したことがある、病気のせいで親を悩ませてしまった。最初は病気なんて思ってなかった、でも「普通」に生きるって本当に難しい。だから、親にも兄にも嫌われていると思ってた。それがすごくダブってしんどかった。しんどいのは自分だけじゃない、お母さんもなのって、こういう気持ちにさせていたのかも、と悲しくなった。

ポールのことも最初は酷いやつだと思った。でもそれって自分のことを自分視点でしか見れてなくて、本当に大切なところまで見えない、決めつけてしまってそれ以降は見ないようにしてしまう。だからポールがアダムのことを思って動いてくれていることに気づけなかった。

マヤの登場で、アダムの心は大きく変わる。私は恋人ではなかったけど、自分の中に光を感じた(推しができた)。好きな人がいるって素晴らしい。それだけで活発的になるし、元気になる。アダムもマヤと出会えたことで、何かが変わった。だからこそ自分自身をどんどん受け入れられなくなってた。こんな自分、誰にも愛して貰えない、だからマヤにも打ち明けられない。アダムの不思議な行動に対する、マヤの心配そうな顔は、何回も私も見た光景だなぁ、と思った。

最後、施設に入ったあと、協会の神父様が来てくれて、神を信じないアダムの代わりにお祈りをしてくれた。その後ポールの校長に送信したメールを読んだアダム。全てのモヤモヤが晴れていくようだった。
卒業式に向かって、壇上に上がり、「本当の自分」を話すアダム。「失敗した経験」が卒業論文のテーマだったけど、失敗したのはお母さんがアダムを産んだことでも、アダムが統合失調症になったことでもない。何かの拍子に少し、歯車がズレてしまっただけ。愛する人たちがいるアダムは少し強くなった。自分を認めてあげられる努力ができるようになった。
最初は笑って作品を見ていたのに、後半20分くらいはずっと泣いてた。苦しいことからは逃れられない、でも上手く付き合っていける、自分だけじゃない、周りの人もいる。
愛されるって素敵な事だなと思った。

配信終了される前に見れてよかった。また見たい。
世界

世界