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僕と頭の中の落書きたちのshihoのレビュー・感想・評価

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)
4.2
主人公にしか見えないお助け人三者の存在は視覚的に分かりやすく、キャッチーで面白かったが、統合失調症が「コレ」かと言ったら「その限りではないがこういう事もあるかもしれない」といった所だろう。不安を餌にして幻覚が現れる描写はよく出来ていて、たとえば同じ幻覚表現でも「ブラック・スワン」とかあんな風には暗くてエグくないのが新鮮で良かった。上手く言えないが、遊び心がありつつも監督が楽しいから幻覚シーンを作っているわけではない、というのが良かった。

作中に出てくる「病気ではあるが、それ自体ではない」という台詞の通り、この映画もこの病気自体がテーマなのではない。人生に関わる障害に立ち向かうには、周囲の人の理解と支え・自分の気持ちの持ち方が大切である・未来への希望が力を生み出すという事かと思った。

何よりこの作品は、画面の自然ながらも計算され尽くした絶妙なバランスの色合いが完璧で大好きだった。美術担当どなたですか?教えてください。数十枚写真撮って見てみたんだけどメインは白・グリーン/青系・茶系(木の素材)の三色でそこに差し色で赤や黄色系が入っている画が多かった。人物の肌の色・髪の色・光の当たり方まで全部合わせてバランス見ているんじゃないかな?インテリアの参考にしたい。

病気と家庭の不安に呑み込まれそうで必死に頑張る主人公を見ているとすごく自然に感情移入して、なんとか幸せになってほしいと願いながら観ていた。神父さんのキャラクターと台詞が特に良く、2人の会話シーンは二度涙が出た。「平気なフリをして実は必死で正気を保っているのが大人だ」だったかな?この台詞は特に好きだった。大人も決して完璧じゃないけど、こうやって苦しむ子羊に寄り添って助けになれる大人でありたい。

彼女との関係や結末の価値観はアメリカだな〜と思った笑
エロい親友が面白くて好きでした笑

時々ツッコミどころはあったけど、総合的には良い作品でした!
主人公役の俳優さんの演技や存在感が素敵だったので、他の作品でも追ってみようかなと思った。
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