KnightsofOdessa

She Dies Tomorrow(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

She Dies Tomorrow(原題)(2020年製作の映画)
2.0
[私は明日死ぬ、私は明日死ぬ、私は明日死ぬ] 40点

サイケな光に包まれ、意味ありげに並べられたある種の希死念慮や潜在的恐怖の具現みたいな映画で、最初に自らの死を悟ったエイミーを発端として、それが人伝に感染していく様を描いている。といっても"意味ありげ"なのでよく分からないまま全登場人物が"私明日死ぬわ"とずーっと呟いてるだけ。死を悟ったことでこれまでの上辺だけの関係性が見直されていき、最終的に余裕ぶっこいてたエイミーまでもが来たる最期に恐怖するという点では印象に残ると言えるのかもしれない。サイメッツが出演した『アップストリーム・カラー』にも似て、難解さというよりも神々の遊びって感じ。なので同作をポストシネマだのマリックの再来だのと喜んでた人は本作品の世界観に狂喜乱舞していることだろう。

そこらへんを割り切って見てしまえば、所謂"人生最後の日になにする?"というやつを横で見ている映画に様変わりする。死に恐怖しながらも最期の時間を自分のものとして生き、時間は死を意識していなかった時と変わらず緩やかに流れる。ある種の穏やかさすら持った不思議な映画だった。
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