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見上げた空とマスクのYSKのレビュー・感想・評価

見上げた空とマスク(2020年製作の映画)
2.6
メインではないものの物語が大きく動く場所に晴れる屋横の坂が使われていたり、特に2020年の作品とはいえ西友が映っていたことが感慨深いですね

『狂覗』で我々の心を一気に鷲掴みにしたものの、以降の作品で心が離れていきつつある藤井秀剛監督作品がいつの間にかふたつもU-NEXTで配信されていました
憎い、憎いぜU-NEXT!

長引くコロナ禍により「対策が徹底された区」「されていない区」と二分化、そしてそれが貧富の差となって現れはじめた東京で、公園にブルーシートを張って暮らす一家のお話
この「対策が徹底された区」「されていない区」という設定は決して悪いものではなく、「された区」でマスクをはずそうものなら警備員が飛んできて身分証の提示を求められ、怪しい素振りを見せてしまえば即通報されてしまったり、「されていない区」で生活しているためマスクを持っていない人間が「された区」に入ろうとして、町ゆく人からマスクを買おうと大金をちらつかせるといった描写は、やや誇張したきらいこそあるものの2020年に撮影されたものと考えればやはりこの監督には天才性が備わっているのだなあとは思いました

ただそれが即面白いかといえばそうでもなく、この面白くなりそうな世界もただの世界観でしかなかったのは残念でした
貧富の差にあえぎブルーシートでつくられたテントで暮らしているはずの主人公一家周りの描写が足りていないのか、どうして「父親」と諍いがあるのか、どうして小綺麗なのか、ペディキュアの女の子はどうなったとか、時間が短い作品だったのは間違いないものの描写すべきところはしっかりと描写して、できればこの設定で違う見せ方があればなあとは思いました
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