ろく

緊急事態宣言のろくのレビュー・感想・評価

緊急事態宣言(2020年製作の映画)
3.0
1作30分ほどの5人の監督からなる(最後は1時間だけど)コロナを題材にしたオムニバス。そこまで悪くはない。

1作目 デリバリー2020 監督:中野量太
コロナ過におけるズーム映画ながらなかなかの佳品だと思う。僕はこれを観ていて岡江久美子の死を思い描いた。コロナは死すら分断する。最後の母親の行動はなんともおかしく、そしてさびしい。

2作目 孤独な19時 監督:園子温
面白い。人と人があえなくなり、ソーシャルディスタンスが50Mの世界での「愛」と「孤独」。たしかに自主映画のような青さがあるけど僕は好きだ。最後走ってあうシーンも納得。

3作目 DEEPMURO 監督:ムロツヨシ他
とにかくひどい。これはなんだ、ただのコントでないか。面白みもメッセージもない。ムロツヨシが監督というので警戒していたのだけど思った通りになってしまった。残念。

4作目 ボトルメール 監督:三木聡
可もなく不可もなく。ホラーとして面白いもののコロナとの関連や訴えは伝わってこない。これはコロナを題材にしただけで「コロナ」を撮ったわけではない気がする。夏帆はいい演技もいつもの三木監督。

5作目 MAYDAY 監督:真利子哲也
一転してドキュメンタリータッチ。ほぼドキュメンタリーだろう。コロナが世界でどう興ったかを語る。でも作りが安易。そもそもドキュメンタリーは多くの映像(そして時間)から構築するものであろう。それに比べるとこれは安易すぎる。ただ最後にこの作品を持ってきてコロナについて考えさせる姿勢は好感が持てる。僕たちは時間をかけて「コロナ」という現象を考えなくてはいけないだろう。

1・2作目は見事。正直尻すぼみの感覚もあるけど、こんな時代だからこそ行われる問題意識は好きである。
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