ベビーパウダー山崎

TOMMASO/トマソのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

TOMMASO/トマソ(2019年製作の映画)
3.5
セックスと暴力、嫉妬から発狂して撃ち殺す。「映画」なんて所詮は他人事、社会から外れたキチガイを眺めている方が面白いに決まってる。アベル・フェラーラの私小説、親友のウィリアム・デフォーに自分の分身を演じさせ、己の歴史(映画)の記録として妻と娘もスクリーンに引きずり出す。手持ちで肉体に寄ったり引いたり、テレンス・マリックっぽい。寂しい表現者の人生を追い続ける視線はマルコ・ベロッキオをなんとなく想起したり。無駄に脱ぎまくる女性たち、裸を映さない作家もいれば、その身体を映画に求める作家もいる、それだけ。ポルノから映画をはじめ、老いた先でもセックスと血で自分語りするフェラーラ。行儀良い表現を己の退屈な正義に重ねてセンズリかかせるような映画は決して撮らないフェラーラ、やはり信頼できる。RESPECT。