いのうえ歌舞伎の傑作!
いのうえ歌舞伎といえば、髑髏城の七人が代表作ですが、今作はそれに匹敵するほどに面白い。
群像劇だった髑髏城の七人に比べ、
主人公・九郎義経を中心に進むので、観やすい。
また、九郎義経のキャラクター、
猪突猛進、腕っぷしが強い、考えるのが苦手という少年漫画の主人公ぶりが、心地良い。
感情移入しやすく、応援したくなります。
物語は、源平合戦から奥州合戦までの期間を舞台に、これまた少年漫画の王道の展開。
九郎義経が原因で最悪の状況が起こり、
悩み、苦しむ九郎義経が、答えを見出して戦いに挑む。
手に汗握る展開が熱い!
今作で重要なのが『歌』。
大陸の歌うたい・静が奏でる歌が、今作の世界観に観客を引き寄せます。
九郎義経曰く、『山葡萄を食べた時のような気持ち』。
酸っぱさを感じる切ない歌は、
合戦の世の、暗く凄惨な面を強調します。
九郎義経の明るさと静の歌の暗さのバランスが見事。
特に終幕。静が歌うシーンが心に刺さります。
また出来れば、映画館の設備で鑑賞したいと思います。
是非、リバイバル上映、お願いします!