クドゥー

ゲキ×シネ「偽義経冥界歌」のクドゥーのレビュー・感想・評価

2.5
『汗と涙の結晶すらも、バイアスとなる語り口』

奥州と冥界を舞台に源義経の偽物を演じる青年を描いた中島かずき作・いのうえひでのり演出作品は、身体中の汁という汁がほとばしる程の熱演をみせる役者たちには敬意を払いたいが、ストーリーテリングとしては一ミリも面白くない劇団新幹線の劇場コンテンツ。

同団体の様式美であろう裏切りの連鎖から生じる勢力戦がうんざりするぐらい延々と続くが、そこにはビジョンを示してくるような戦略やスリリングな駆け引きによる戦術は存在せず、殺陣もオカルトを除けばワンパターン過ぎてとても超長尺には耐えないものがある。

圧倒的な情報量に攻められるでもなくただ漫然と長くて多い台詞回しは百歩譲って作家性だとしても、最終的に本編の流れに対して全く脈絡のないところで説教垂れてくるのは理解不能、無限列車を御涙頂戴と称する人たちは本作を観てどんな感想を抱くのだろうか。



鑑賞記録
2020.11.01
MOVIX京都DOLBYCINEMA
→チャンネルベースのサウンドはアトモスとは言えないが、実物より舞台美術が映えるビジョンには特筆すべきものがある。映画館の新たな可能性の探究に意義はあるけれど、ヴァイオレットが公開後は大人しく明け渡してもらいたい。その程度。
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