阪本嘉一好子

Jaffa(原題)の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

Jaffa(原題)(2009年製作の映画)
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テレアビブの南のJAFFAヤファで自動車修理工場を経営しているユダヤ人のウルフ家。ここの娘マリMali (Dana Ivgy )
と幼なじみでそこで働くパレスチナ人の青年Tawfig ( マフンド チャラビーMahmud Shalabyヒップホップスターでもある)とが恋に落ちるという話だが、不幸にも政治、民族争いの渦のなかでの二人はロミオとジュリエットのように各家庭や親類にに受け入れてもらえないのを承知しているから、密かにことを運ぶ。

パレスチナとイスラエルの争いを理解していれば、より鮮明にこの二人がお互いの家庭で受け入れられないことがわかる。政治民族争いが根底に残っているだけでなく現在もその争いの渦の中に住んでいる人々にとって解決できない問題が多すぎる。しかし、
この映画では二人の将来が見える。明るい将来じゃないかもしれないが、9年間も会えなかった二人とその娘。ウルフ家は修理
工場をたたんでテレアビブの西側に(Ramat Gan)引っ越しして、全てが落ち着いたように見えたが、マリMali の気持ちは穏やかではない。

海岸で娘が遊んでいる様子みているTawfig。そのそばでじっと二人を見つめるMali.

こういう結末にしてくれないと観衆も救われない。若者の愛の物語がロミオとジュリエットのようじゃあ、希望が持てない。


蛇足

海に浮かぶ小瓶(2010年製作の映画)Une bouteille à la mer/A Bottle in the Gaza Sea という映画もMahmud Shalaby主演の恋愛映画だったが、パレスチナ人はここからでるのは不可能と言えるガザ地区に住んでいる青年役(ナイム)だった。
ナイム(NAIM)とエルサレムに住む(フランスのパリの南東クレテイユ(Créteil)から移住してきた(シオニズムで)ユダヤ人の家族)高校生タル(TAL)との純愛物語だ。この映画も先にあかりが見える映画だった。政治民族問題の狭間にあって、二人が結ばれないのはダブルパンチで、悲しすぎるから。