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海辺の彼女たちのodyssのレビュー・感想・評価

海辺の彼女たち(2020年製作の映画)
2.7
【志は買うが、出来はもう一つ】

日本・ヴェトナム合作、藤元明緒+島田雄史監督作品。

ヴェトナム人女性が日本で非正規の労働力として酷使されている現状を告発した映画。

三人の若いヴェトナム人女性はフェリーとクルマで青森県の漁港に連れてこられ、そこで働かされる。技能実習生として来日したものの、色々な事情からこうなってしまう。或いは最初からそのつもりだった可能性もある。

ヴェトナムの家族には定期的に送金しなければならない。パスポートなどは元の勤務先に預けてしまったので、他の土地に来ると身分を証明できず、医者にもかかれない。或る日、一人の妊娠が発覚する。来日する直前の性交渉が原因らしいが、どうすればいいのか・・・

しばらく前は、日本の地方都市の下請け労働には中国人が使われていたと思うが、最近は中国が経済大国化したせいで、安価な労働力としてヴェトナム人など東南アジア系が使われている。

そうした日本の闇を捉えようとする志はよろしい。
ただし作り方にはもっと工夫が必要。技能実習生として来日しながら別の労働現場に行くようになる事情については説明がなければならないし、途中ブローカー的な役割は在日ヴェトナム人が果たしているのだが、そういう人物の経歴なども盛り込んでいない。

テーマが重いだけに、作り手には入念なリサーチの上で映画作りをしてもらいたい。或いは、この種の映画の作り方が監督にあんまり分かっていない、と言うべきか。
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