宗教なき時代のアメリカで、資本主義の歪みの中に迷い込み、住んでいた街と家族を失った末、何に寄り添うかの答えをノマド生活に求めた人たちの暮らしぶりを垣間見る、ドキュメンタリーのような作品。思ったよりストーリー展開は緩やかだが、それがまたこうしたノマド生活者のリアリティを増している。
日本にでも、ノマドとは言わずとも(意識的にせよ無意識的にせよ)社会性を持たずに暮らす初老以降の人はとても多いはずだ。どのあたりがアカデミー賞の受賞理由なのか詳しく知りたいと思うが、現代社会が産んだ"緩やかな病"への活写が要因かもしれない。
